前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 平成 2年版 犯罪白書 第1編/第2章/第3節/1 

1 概  説

 I-33表は,最近3年間に検察庁が受理した公務員(法令により公務に従事する者とみなされる,いわゆる「みなす公務員」を除く。)による道交違反を除く犯罪を,罪名別に示したものである。平成元年の受理人員総数は,前年より1,692人(7.4%)減少して2万1,310人となっている。これを罪名別に見ると,業過が1万8,037人と圧倒的に多く,公務員犯罪に占める業過の割合(総数の84.6%,刑法犯の86.2%)は,検察庁新規受理人員(道交違反を除く。)に占める業過の割合(総数の60.0%,刑法犯の66.3%)を大幅に上回っている。次いで多いのは職権濫用の659人であるが,そのほとんどは告訴・告発によるものである。「その他」が1,400人で前年より2,069人(59.6%)減少している。「その他」の中には,受刑者が矯正職員を殺人未遂等で告訴・告発したもので,事実自体が犯罪とならない事件が多数含まれている。

I-33表 公務員犯罪の罪名別検察庁新規受理人員(昭和62年〜平成元年)

 I-34表は,最近3年間における道交違反を除く公務員犯罪の検察庁における終局処理状況を示したものである。平成元年における起訴人員総数は,前年より905人減少して7,329人となっており,起訴率は1.3ポイント下降して35.1%となっている。これは,圧倒的多数を占める業過の起訴率が下降(5.5ポイント)したことなどによるものである。罪名別に起訴率を見ると,収賄の65.3%が最も高く,特別法犯の60.2%がこれに次ぎ,以下,詐欺(39.2%),業過(37.3%)の順となっている。

I-34表 公務員犯罪の罪名別検察庁終局処理人員(昭和62年〜平成元年)