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 平成 元年版 犯罪白書 第4編/第2章/第5節/1 

1 戦後の混乱期(昭和20年代前半)

 この時代は,旧来の博徒・的屋の外に,大小無数の新興不法集団が続々登場し,露店,やみ市,賭博,集団強盗,用心棒などあらゆる分野に進出し,各種利権を巡り,既存勢力らと武力による激しい対立抗争を繰り返した時代である。

IV-14表 暴力団関係者の刑法犯及び特別法犯検挙人員の推移(昭和21年〜63年)

 IV-14表は,暴力団関係者の刑法犯及び特別法犯検挙人員等の推移を見たものであるが,刑法犯検挙人員は,昭和21年は3万512人,22年は3万116人であるが,23年1万2,110人,24年8,853人,25年7,400人と減少し,26年及び27年は2,400人台に激減している。刑法犯及び特別法犯の一般的動向と異なり),23年から25年の時期がピークではなく,終戦直後の21年及び22年にピークを迎えている。終戦直後にやみ市などの各種利権を巡り,暴力団関係者の対立抗争事犯が多発しているが,軍用銃器等で武装し乱射し合うなど,社会不安を招くような大規模なものが多く,弱体化した警察がまず取り組まなければならない最重要取締対象であった。23年以降,暴力団関係者の検挙人員は減少しているが,戦後の社会的混乱が収拾に向かったことのほか,数次にわたる暴力団犯罪の取締り,暴力団組織に対する解散措置,24年の団体等規制令による解散指定など,暴力団関係者の犯罪等に対する厳しい措置が不法事犯の一時的沈静化に役立ったものと思われる。