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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第6節/2 

2 予後が良好な多数回前科者の特徴

 初犯裁判時の年齢層別に,最終刑時からの期間が5年を超えた者の比率(以下「予後良好率」という。)を見ると,予後良好率は,初犯裁判時20歳未満であった者では43.2%であるが,20歳から24歳までの年齢層では38.0%と最も低く,25歳から29歳まででは49.1%,30歳から34歳まででは56.0%,35歳以上では54.5%となっており,初犯時年齢が30歳未満である者は,30歳以上の者に比べて予後が不良であることが示されている。
 次に,最終刑時の罪種別に予後良好率を見ると,風俗事犯の予後良好率が64.4%で最も高く,次いで性犯罪の54.4%,粗暴犯の49.3%となっており,予後不良の罪種は,財産犯(32,3%),凶悪犯(19.1%),薬物事犯(16.9%)などである。
 前科の中で自由刑が占める比率の高低別に予後良好率を見ると,前科のすべてが自由刑である者では28.8%,自由刑が7割を超える者では27.7%,自由刑が5割を超える者では29.2%,自由刑が5割以下の者では50.9%,自由刑が3割以下の者では54.3%,前科のすべてが財産刑の者では50.8%となっている。このように前科の中で自由刑の占める比率が5割を超えている者は,5割以下の者と比較して予後の不良な者が多い。