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 昭和63年版 犯罪白書 第4編/第3章/第3節/1 

1 刑名及び刑期の変遷

 多数回前科者の初犯時の刑名・刑期は,先に見たとおり,罰金刑と短期の自由刑が比較的多数を占めるが,それでは第2犯以降の刑名・刑期は,どのように変化しているのであろうか。IV-27表は,多数回前科者全員について初犯から第10犯までの刑名と自由刑の刑期の構成比を見たものである。罰金刑に処せられた者は,初犯では総数の41.8%であるが,第2犯以降は若干増加して44%台ないし47%台で推移しており,その比率は犯数を重ねても余り変化はない。自由刑について見ると,6月を超え1年以下の刑を受けた者は,初犯から第10犯までのいずれにおいても最も多いものの,その比率は犯数を重ねるにつれて減少している。一方,犯数が多くなるにつれて,2年を超え3年以下及び3年を超える刑を受ける者の比率が若干は上昇しているが,その比率は第10犯においても全体の8.8%にすぎず,依然として短期の刑を科される者が多数を占めている。前科を多数重ねても刑期はそれほど長くならず,多くの者に対して,相変らず比較的短期の自由刑が科せられているのであり,多数回前科者の犯す犯罪には重大でないものが多いことを考慮に入れても,このような科刑に問題がないかどうか一応検討の余地がありそうである。なお,前科を重ねると執行猶予の要件を満たす者が少なくなるため,第2犯以降においては,執行猶予を付される者の比率は,6月を超える刑期では激減している。しかし,罰金を含む犯数とはいえ,10犯もの犯歴を重ねた者になお計7.3%もの刑の執行猶予が付されている点も,特殊の事情があったからではあろうが, 一概に検討の余地がないとは言えないようである。

IV-27表 多数回前科者の初犯から第10犯までの犯数別刑名・刑期の構成比

IV-28表 多数回前科者の犯数別罪名順位