更生緊急保護は,罪を犯した者のうち,満期釈放者,起訴猶予者など保護観察の対象とならない一定の者に対して,必要に応じて緊急適切な保護の措置を講じ,これらの者の再犯防止と改善更生を図ろうとするものである。
更生緊急保護を受けることができる者は,刑事上の手続による身体の拘束を解かれた者のうち,[1]満期釈放者及び仮出獄期間満了者,[2]懲役・禁錮・拘留刑の執行を免除された者,[3]懲役・禁錮刑の執行猶予の言渡しを受け,裁判が確定するまでの者,[4]懲役・禁錮刑の執行猶予者で,保護観察に付されなかった者,[5]起訴猶予者,[6]婦人補導院退院者・同仮退院期間満了者である。
更生緊急保護の措置は,これらの者に対し,親族,縁故者等からの援助若しくは公共の衛生福祉等の施設からの保護を受けることのできない場合,又はこれらの援助若しくな主保護のみによっては更生できないと認められる場合に行われる。
保護措置は,本人からの申出があり,これに対して保護観察所長がその必要性を認めた場合には,刑事上の手続による身体の拘束を解かれた後,6月を超えない範囲で行われる。措置の内容としては,保護観察所が自ら行う食事・衣料の給与,医療の援助,帰住などのための旅費の支給等のほか,更生保護会に委託して行う食事,宿泊の供与,これに伴う補導の実施等がある。
昭和62年における保護措置の実施状況は,II-57表のとおりである。保護観察所が自ら行った措置について見ると,措置の種類別では,食事給与及び旅費支給が多い。措置対象者の種類別では,刑の執行終了者(満期釈放者及び仮出獄期間満了者)が総数の58.6%を占めて最も多く,次いで起訴猶予者の26.7%である。更生保護会へ保護を委託した人員でも,刑の執行終了者が最も多く,総数に占める比率は74.0%となっている。
II-57表 更生緊急保護における保護措置の実施人員