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2 高齢者犯罪の動向 昭和62年において,警察が検挙した刑法犯(ここでは,航空機の強取等の処罰に関する法律,火災びんの使用等の処罰に関する法律,航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律及び人質による強要行為等の処罰に関する法律の各違反を含み,交通関係業過を除く。)の人員は40万4,762人であるが,このうち高齢者は1万9,031人で,検挙人員の中に占める高齢者の比率(高齢者比)は,4.7%となっている。この高齢者比に表れた数字は,前項で述べた人口構成の場合の15.8%に比べると,まだ低いとは言えるものの,10年前の1万562人,2.9%に比べると,高齢者数で1.8倍,高齢者比で1.8ポイント増となっており,高齢者数の伸び率としては,人口構成の場合の1.4倍を上回っている。また,高齢者人口10万人当たりの高齢犯罪者検挙人員の比率を見ても,10年前は75.9であったものが,62年では98.3と上昇している。
I-55表は,昭和62年における高齢者の刑法犯検挙人員を罪名別に示したものである。罪名別の構成比では,窃盗(74.8%)が最も高く,以下,横領(12.4%),詐欺(3.8%)などの順となっており,これを男女別に見ると,窃盗では,女子(90.6%)が男子(67.5%)と比べて極めて高いが,詐欺及び横領では,いずれも男子の方が高くなっている。他方,各罪名ごとに高齢者比を見ると,実人員は少ないが,殺人の5.6%が最も高く,次いで高いのは窃盗,詐欺及び横領の各5.4%となっている。また,男女別に高齢者比を見ると,総数で男子は4.0%であるのに対して,女子は7.7%と高く,罪名別では,男子は,殺人及び横領の各5.5%が最も高く,以下,詐欺の5.4%,窃盗の4.5%などの順になっているのに対し,女子は,窃盗の8.3%が最も高く,以下,殺人の6.1%,放火の5.2%などの順となっている。なお,窃盗について手口別に高齢者比を見ると,万引きが8.3%,自転車盗が6.2%といずれも高い。 |