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 昭和63年版 犯罪白書 第1編/第2章/第7節/2 

2 ゲリラ事犯

 最近5年間におけるゲリラ事犯の認知件数の推移は,I-52表のとおりである。昭和62年においては37件であり,前年の89件を大幅に下回ったが,51年以降最高の11件の本格的爆弾を使用した事件が発生している。そのうち,主要なゲリラ事件は次のとおりである。
 ○警視庁深川警察署に対する爆発物発射事件(1月19日,東京)
 ○新東京国際空港工事関連企業作業所等の爆破事件(3月14日,東京,千葉,埼玉,茨城)
 ○新東京国際空港工事関連企業施設の爆破事件(5月22日,埼玉)
 ○皇居・北の丸公園に向けた爆発物発射事件(8月27日,東京)
 ○関西国際空港工事用地盤改良船の爆破事件(8月27日,兵庫)
 ○関西国際空港工事現場用小型旅客船の爆破事件(10月17日,神奈川)
 ○茅ケ崎警察署独身寮敷地内の車両爆破事件(10月26日,神奈川)
 ○新東京国際空港公団の幹部職員宅放火事件(11月5日,千葉)

I-52表 ゲリラ事犯認知件数  (昭和58年〜62年)

 これらは,最後の放火事件を除いて,いずれも本格的な爆発物や発射装置を使用したものであり,事件発生後,中核派が犯行声明を行っている。中でも,3月14日に敢行された新東京国際空港工事関連企業の作業所等を爆破した事件は,1都3県合計5箇所の施設に時限爆弾が仕掛けられ,ほぼ同時に爆発させたものであって,社会に大きな衝撃を与えた。また,新東京国際空港公団職員宅の放火事件は,過激派による個人に対するテロ攻撃拡大の事例として見逃せないものである。