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 昭和62年版 犯罪白書 第2編/第3章/第4節 

第4節 婦人補導院

 婦人補導院は,売春防止法5条(勧誘等)の罪を犯して補導処分に付された成人の女子を収容し,その更生のために必要な補導を行う施設である。収容期間は6か月を限度とし,その間,規律ある明るい環境の下で,社会生活に適応させるために必要な生活指導と職業補導とを行い,併せて更生の妨げとなる心身の障害を除去するための医療を施している。
 新収容者数は,最近5年間の合計で見ると19人となっている。なお,昭和61年の入院はない。
 婦人補導院の在院者は,概して高齢で,知能程度が低く,心身に何らかの障害を有する者が多いので,その処遇に当たっては,個々の在院者の特性に応じた個別指導を行うこととしている。その処遇の内容は,生活指導,職業補導,医療,院外指導,体育,レクリエーション,クラブ活動等であるが,再犯防止の観点から,売春に対する価値観と態度の変容を目標とし,視聴覚教材を利用した指導,個別面接などによる働きかけが行われ,生活指導においては,規律正しい生活管理などに重点をおき,職業補導は,職業に必要な知識や技能を習得させるとともに,職業生活における健全な態度の育成や勤労意欲の喚起を重視して実施され,また,医療は,更生の妨げとなる心身の障害の発見と治療,特に,性病の治療に重点をおくこととし,さらに,出院後の帰住先の環境に恵まれない者が多いので,退院又は仮退院後における社会復帰のための諸施策については,関係機関と十分な連携を保ちつつその推進を図ることとしている。