前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和61年版 犯罪白書 第4編/第2章/第2節/1 

1 殺人被害の地域的特性

 IV-2表は,昭和50年代における殺人事犯の年間平均認知件数と人口10万人当たりの発生率を都道府県別に見たものである。
 まず,殺人発生率の高い順に上位5県を挙げると,高知3.15,沖縄3.04,福岡2.62,和歌山2.49,山口2.28となっており,福岡を除くと,人口が160万人に満たない県である。なお,全国平均の1.60を上回った地域は,上記5県のほかに,熊本,大阪,愛媛,岡山,香川,徳島,神奈川,兵庫,大分,長崎,鳥取,広島,東京,佐賀の14都府県となっており,合わせて19都府県である。また,東京と神奈川を除くと,すべて大阪,和歌山の線から西の地域となっており,なかでも,四国は4県すべてが,九州は8県中6県がいずれも全国平均を超えている。逆に殺人発生率の低い順に5県を挙げると,山形0.95,富山0.96,岐阜1.01,栃木1.04,長野1.06となっており,しかも,山形,福島(1.06で,下位から6位)及び栃木,並びに,富山,岐阜及び長野のように隣接する地域という特徴が見られる。最も殺人発生率の低い山形に比べて,高知は3.3倍,沖縄は3.2倍となっている。
 IV-1図は,殺人発生率を,都道府県別に見た地図である。
 次に,地域的特性を見るために,人口による3類型に基づいて殺人発生率を比較すると,地方型1.80,大都市型1.68,周辺型1.37の順となっており,本類型自体からは,大差は認められない。