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 昭和61年版 犯罪白書 第2編/第4章/第4節 

第4節 更生保護会

 更生保護会は,法務大臣の認可を受けて更生保護事業を行う民間の団体であり,宿泊保護等の直接保護事業を行うものと,この直接保護事業を助成するなどの連絡助成事業を行うものとの2種類がある。通常,更生保護会といわれるのは前者,すなわち,直接更生保護事業を行う団体のことである。
 直接保護事業を行う更生保護会(以下本節において単に「更生保護会」という。)は,それぞれ,男女別及び成人・青少年(23歳未満)別に収容対象を特定しているが,昭和61年4月1日現在における種類別の施設数は,II-57表のとおりであり,各種類合計して100施設である。同日現在における収容定員は,2,470名であり,これを男女別に見ると,男子が2,366人(うち,青少年472人,成人1,894人),女子が104人(うち,青少年39人,成人65人)である。
 更生保護会は,更生緊急保護の対象となる者又は保護観察中の者で保護観察所長から委託された者,更生緊急保護の期間経過後なお保護を必要とする者などに対して,宿泊供与に加えて,食事の給与,就職の援助,相談・助言等の保護を行っている。
 II-58表は,最近5年間について,保護観察所長が更生保護会に宿泊保護を委託した人員を示したものである。毎年1万人を超える者が委託されているが,その内訳を見ると,保護観察対象者が更生緊急保護の対象者を上回っており,また,前者では仮出獄者が,後者では刑の執行終了者が,それぞれ高い割合を占めている。

II-57表 更生保護会の種類別施設数

II-58表 事件種類別更生保護会委託人員

 I-59表は,委託による保護(委託保護)と更生保護会が委託期間の経過後も保護を継続する必要があると判断して,国の委託に基づかずに任意で行う保護(任意保護)との両者について,被保護者1人の1宿泊を1人として計算した延べ人員で見たものである。
 この表によれば,昭和59年4月1日から60年3月31日までの1年間における延べ人員は,委託保護及び任意保護合計して53万7,876人であり,58会計年度以降増加傾向を示している。この傾向は委託保護の増加によるものであり,収容率は逐年上昇しているが,任意保護の占める割合は徐々に低下している。
 なお,昭和60年中に刑務所を出所した者について,釈放後の帰住予定先を見ると,刑務所に初めて入所した者では,父母のもとが40.0%,配偶者のもとが22.8%,更生保護会が14.3%であるが,入所度数が5度以上の者では,父母のもとが10.3%,配偶者のもとが18.8%とそれぞれ減少し,更生保護会が26.8%に増加している。このように,入所度数が多い者ほど,親族等の引受人がいないために,更生保護会を帰住先とする傾向にあり,60年の刑務所出所者のうち,更生保護会に帰住を予定していた者5,978人中52.1%(3,116人)が,入所度数3度以上の者で占められている。

II-59表 更生保護会の収容保護状況