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 昭和60年版 犯罪白書 第1編/第3章/第4節/4 

4 フランスの女子犯罪

 I-67表は,フランスにおける交通犯罪を除く重罪と軽罪(crime et delit)の女子犯罪検挙人員の推移を示したものである。1974年の女子犯罪検挙人員は9万5,854人で,女子比は13.4%であったが,1983年には,16万2,265人となり,女子比は18.6%へと上昇している。

I-67表 フランスの女子犯罪検挙人員(1974年〜83年)

 女子の主要な罪名を見ると,窃盗,詐欺などを含む利益目的の犯罪が大多数を占め,1983年には,13万175人で,“総数の80.2%を占めている。利益目的の犯罪のうち最も多いものは,個人用小切手等の濫用事犯で6万7,752人に達しており,女子比も31.2%となっている。また窃盗の占める比率が,我が国と比較すると低いのが目立つ。人身に対する犯罪で検挙された女子は,1983年では2万2,903人(14.1%)で,実数こそ多くはないが増加の傾向にある。
 女子比が比較的高い罪名は,嬰児殺,万引きなどで,我が国と類似しているが,その他に幼児と家族に対する軽罪,経済・財政的軽罪,通貨の偽造及び不正使用などがある。また,フランスにおいては,女子犯罪者総数に占める女子少年の比率が我が国と比較して低いことも特徴的である。