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3 保護観察の実施結果 (1)保護観察終了時の状況
昭和58年に保護観察を終了した総人員は,9万7,180人であり,このうち,交通短期4万182人及び婦人補導院仮退院者1人を除いた5万6,997人について,対象者の種類別に保護観察実施結果を見ると,III-52表のとおりである。保護観察処分少年では,解除が69.1%を占め,一方,12.8%の者が,再犯等を理由に新たな処分を受けたことにより,保護処分を取り消されている。少年院仮退院者では,満齢又は満期が56.9%を占め,退院が21.1%,戻し収容及び保護処分取消しの合計が21.4%である。仮出獄者では,期間満了が93.3%と極めて高く,仮出獄取消しは5.5%にすぎない。保護観察付執行猶予者では,期間満了が65.7%であり,執行猶予取消しが32.6%と高い比率を示している。 (2)保護観察中の再犯等 昭和58年に保護観察を終了した者のうち,交通短期を除いた者について,保護観察期間中に,再度の犯罪・非行により刑事処分(起訴猶予を含む。),又は保護処分を受けた者の比率(以下「再犯率」という。)を,罪名・非行名別に見ると,III-53表のとおりである。対象者の種類別に再犯率を見ると,保護観察付執行猶予者の38.0%が最も高く,仮出獄者の1.8%が最も低い。仮出獄者の再犯率が低いのは,保護観察期間が概して短いことによるものとも考えられる。罪名・非行名と再犯率との関係を対象者の種類別に見ると,保護観察処分少年では,毒物及び劇物取締法違反の33.2%が最も高く,窃盗の31.8%がこれに次ぎ,少年院仮退院者では,強制猥褻46.7%,窃盗37.4%,仮出獄者では,強盗5.3%,強制猥褻4.O%,保護観察付執行猶予者では,暴行・凶器準備集合57.5%,毒物及び劇物取締法違反53.3%,覚せい剤取締法違反50.6%の順となっており,特に,保護観察付執行猶予者における覚せい剤取締法違反が,前年同様に50%を超える高い再犯率を示していることが注目される。なお,III-54表は,最近3年間における再犯率の推移を見たものであるが,58年の再犯率は,前年と比較して,保護観察処分少年及び少年院仮退院者で上昇し,仮出獄者及び保護観察付執行猶予者で低下している。 次に,III-55表は,仮出獄者の期間中及び期間経過後における刑務所への再入所状況を,満期釈放者のそれと対比して見たものである。昭和52年から56年までの各年間に仮出獄した者のうち,出所後第3年目までに21.5%ないし29.7%の者が再入所している。なお,これを満期釈放で出所した者の出所後第3年目までの再入所率と比較すると,いずれの年においても,仮出獄者の再入所率は満期釈放者に比べて著しく低い。 III-52表 保護観察の実施結果状況(昭和57年,58年) III-53表 保護観察終了者の罪名・非行名別再犯率(昭和58年) III-54表 保護観察終了者の保護観察中における再犯率(昭和56年〜58年) III-55表 仮出獄者と満期釈放者の再入所状況(昭和52年〜56年) |