受刑者の処遇は，入出所時教育，教科教育，クラブ活動及び職業訓練など多くの場面で，民間篤志家の協力を得て行われている。ここでは，そのうち篤志面接委員制度及び宗教教誨について説明する。
　(1)篤志面接委員制度
　篤志面接委員制度は，個々の受刑者が抱いている精神的悩みや，家庭，職業，将来の生活設計などの問題について，民間の学識経験者，宗教家，更生保護関係者等の助言・指導を求めて，その解決を図ろうとするもので，昭和28年の発足以来，58年で30周年を迎え，一層受刑者の処遇に定着し，優れた成果を上げている。58年末日現在の篤志面接委員数は，III-32表のとおり，1,103人で，58年における面接回数は，III-33表のとおり，1万1,007回で，委員1人当たりの面接回数は10.0回であり，その面接内容も多岐にわたっている。

III-32表　篤志面接委員数(昭和58年12月31日現在)

III-33表　篤志面接相談内容別実施状況(昭和58年)

　(2)宗教教誨
　宗教教誨は，信仰を有する者，宗教を求める者及び宗教的関心を有する者の宗教的要求を充足し，宗教的自由を保障するために，民間の篤志宗教家(「教誨師」と呼ばれる。)により実施されている。宗教教誨は，受刑者がその希望する宗教の教義に従って，信仰心を培い，徳性を養うとともに，心情の安定を図り，進んで更生の契機を得ることに役立たせようとするものである。無期その他長期刑の受刑者に対しては，特に優れた成果を上げている。昭和58年末日現在における教誨師数は，1,352人で，各宗各派にわたっている。58年中における宗教教誨の実施状況は，III-34表のとおりであり，教誨師1人当たりの教誨回数は10.8回となっている。

III-34表　宗教教誨実施状況(昭和58年)