前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和58年版 犯罪白書 第3編/第3章/第2節/3 

3 篤志面接委員制度及び宗教教誨

 受刑者の処遇は,入出所時教育,教科教育,クラブ活動及び職業訓練など多くの場面で,民間篤志家の協力を得て行われている。ここでは,そのうち篤志面接委員制度及び宗教教誨について説明する。
 (1)篤志面接委員制度
 篤志面接委員制度は,個々の受刑者が抱いている精神的悩みや,家庭,職業,将来の生活設計などの問題について,民間の学識経験者,宗教家,更生保護関係者等の助言・指導を求めて,その解決を図ろうとするもので,昭和28年発足以来,逐年活発化し,受刑者の処遇に定着したものとなっている。57年末現在の篤志面接委員数は,III-38表のとおり,1,094人で,57年における面接回数は,III-39表のとおり,1万360回で,委員1人当たりの面接回数は9.5回であり,その面接内容も多岐にわたっている。
 (2)宗教教誨

III-38表 篤志面接委員数(昭和57年12月31日現在)

III-39表 篤志面接相談内容別実施状況(昭和57年)

 宗教教誨は,信仰を有する者,宗教を求める者及び宗教的関心を有する者の宗教的要求を充足し,宗教的自由を保障するために,民間の篤志宗教家(「教誨師」と呼ばれる。)により実施されている。宗教教講は,受刑者がその希望する宗教の教義に従って,信仰心を培い,徳性を養うとともに,心情の安定を図り,進んで更生の契機を得ることに役立たせようとするものである。無期その他長期刑の受刑者に対しては,特に優れた成果を上げている。昭和57年末現在における教講師数は,1,350人で,各宗各派にわたっている。57年中における宗教教講の実施状況は,III-40表のとおりであり,教誨師1人当たりの教誨回数は10.5回となっている。