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 昭和58年版 犯罪白書 第2編/第2章/第1節/3 

3 教育程度,就業状況,配偶者及び家庭環境

 犯人像の特質のうち,教育程度,就業状況,配偶者の有無及び家庭環境を,より詳細な調査ができた東京地方裁判所において判決を言い渡された対象者166人について見ると,II-35表のとおりである。
 教育程度では,3罪種のいずれについても,中学卒業以下の者が全体の5割強ないし7割弱を占め,次いで,高校入学以上の者,大学・専修学校等入学以上の者という順になっており,低学歴者の占める比率が高い。もっとも,強姦では,高校入学以上の者が31.6%,大学等入学以上の者が12.3%と,殺人,強盗に対し,比較的高学歴者の占める比率が高い。
 就業状況の安定性を見ると,3罪種とも不安定(持続性乏しく,転職が多い。)・不良(ほとんど定職なく,ヤクザ生活を送ったりしている。)の者が半数を超えているが,なかでも,強盗は85.1%と極めて高く注目される。
 配偶者の有無については,3罪種とも配偶者のない者が高い比率を占めるが,なかでも,強盗及び強姦では8割近くに達している。なお,強姦では,配偶者のない者のうち,未婚者が84.1%を占めているのが目につく。

II-35表 暴力犯罪者の属性等(東京)

 家庭環境に目を向けると,殺人及び強盗では,家庭環境が良好と認められない者,すなわち,家族との関係が疎遠な者と家族間にかっとう・対立のある者を合わせた比率が,それぞれ57.1%,50.8%と高い数値を示し,家庭環境の影響がうかがわれる。これに対し,強姦では,家族との関係が良好若しくは普通である者の占める比率が52.6%と,殺人,強盗に比べ際立って高い。