第2章 最近の暴力犯罪及び犯罪者の特質 第1章で見たとおり,最近における我が国の暴力犯罪の動向には,量的減少煩向にもかかわらず諸般の危険な徴候が認められることにかんがみ,法務総合研究所では,最近における殺人,強盗及び強姦等の暴力犯罪の実情,犯人像及び被害者像の特質,科刑状況などを明らかにするため,検察庁の協力を得て,総合的な特別調査を行った。 調査対象者は,東京地方裁判所等の43の地方裁判所(支部を除く。)で,殺人,強盗及び強姦により有罪判決の言渡しを受け,昭和56年1月1日から同年12月末までに確定した1,359人である。以下,第1節から第4節において,暴力事犯の特別調査の集計結果の一部を要約して紹介する。なお,法務総合研究所では,57年7月1日現在における,全国の女子刑務所の殺人事犯女子受刑者199人を対象とした調査も行っているので,この調査結果も合わせて第5節において紹介する。
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