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3 暴力団関係者の処遇 I-27表は,昭和56年における交通関係業過及び道交違反を除く事件について,検察庁の処理状況を見たものである。起訴及び不起訴人員の総数は1万7,866人で,そのうち,起訴人員は1万5,001人(起訴率84.0%),起訴猶予人員は1,678人(起訴猶予率10.1%)となっている。56年における全既済人員の起訴率は66.1%,起訴猶予率は29.0%であり,暴力団関係者と全既済人員とを比較すると,起訴率は暴力団関係者が大幅に上回り,起訴猶予率は全既済人員が大幅に上回っている。罪名別に見ると,I-27表に掲げた罪名のほとんどで,起訴率は暴力団関係者の方が全既済人員よりも高く,起訴猶予率は低くなっている。公判請求率について見ると,総数では,暴力団関係者の74.7%に対し,全既済人員は,52.0%となっており,暴力団関係者が全既済人員を大幅に上回っている。
I-28表 暴力団加入新受刑者の罪名別・刑期別構成比(昭和56年) このように,暴力団関係者の起訴率,公判請求率が全既済人員よりも高く,起訴猶予率が低いのは,暴力団関係者には累犯者が多いことに加え,検察庁において,暴力団関係者に対し,厳しい姿勢で臨んでいることを示すものであろう。I-28表は,昭和56年に新たに刑務所に入所した暴力団加入者について,罪名別に懲役刑の刑期別構成比を見たものである。総数で見ると,1年を超え2年以下が37.7%で最も多く,6月を超え1年以下がこれに次いでいる。新受刑者の全体について見ると,6月を超え1年以下が34.4%で最も多くなっており,暴力団加入者の方がやや重い傾向にあると言えよう。罪名別に見ると,殺人では,5年を超え10年以下が41.0%,10年を超える者及び3年を超え5年以下が22.4%となっている。覚せい剤取締法違反では,1年を超え2年以下が44.8%と半数近くを占めているが,10年を超える者も0.1%いる。 |