前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和56年版 犯罪白書 第3編/第2章/第4節/1 

第4節 未決拘禁者等の処遇

1 未決拘禁者の処遇

 昭和40年以降における未決拘禁者の拘置所等への入出所人員を見たものが,III-59表である。55年の入所人員は,被疑者が1万6,220人,被告人が5万542人,合計6万6,762人で,前年より2,220人減少している。
 未決拘禁者は,拘置所若しくは拘置支所,又は刑務所の特別区画である拘置場に収容されるほかに,いわゆる代用監獄(警察官署附属の留置場)に拘禁される者もいるが,その数は,国が都道府県警察へ実費弁償した実績で見ると(この中には,余罪取調べのために移送された受刑者も含まれるが,大部分は被疑者及び被告人である。),昭和55年では,延べ181万4,811人であり,1日平均では4,972人である。
 未決拘禁者の処遇は,受刑者とは異なり,逃走及び証拠隠滅の防止と施設の規律維持が基調となっている。居房は,原則として独居房であり,雑居房に収容する場合でも,同一事件に関係のある者は居房を別にし,居房外においても接触の機会がないように配慮している。
 もとより作業は強制されないが,請願作業が許され,就業者には作業賞与金が支給される。衣類及び寝具は自弁が原則であり,食糧や日用品についても,規律及び衛生に害のない限り,かなり広範にわたる自弁が許されている。面会及び通信については,管理上やむを得ない場合を除いては,その相手方・回数に制限はない。特に,弁護人との面会については,立会人を付けないこととし,被疑者又は被告人としての防禦権が保障されている。通信の内容については,検閲が行われる。図書,雑誌及び新聞については,未決拘禁の目的に反せず,かつ,施設の規律維持に害のない限り,閲読が許されている。

III-59表 未決拘禁者の入出所人員(昭和40年,45年,50年,54年,55年)