前の項目                        目次   図表目次   年版選択
 昭和54年版 犯罪白書 第4編/第4章/第2節/4 

4 女性犯罪における累犯上の問題

 以上,女性犯罪に対する司法処理及び矯正・保護処遇の各段階について見てきたが,最後に,各段階における前科者率について男女別に対比して示したのがIV-51表である。

IV-51表 司法処理及び矯正処遇の各段階における前科者率の比較(昭和52年)

 まず,起訴猶予者中の前科者率を見ると,刑法犯,特別法犯のいずれにあっても,女性の前科者率が著しく低率となっており,起訴された者の中の前科者率を見ても,女性は男性に比較して低い。次に,通常第一審有罪人員中の前科者率で見ても,刑法犯における男性の比率は66.1%であるのに対し,女性は33.5%と低くなっている。更に,刑務所に収容された新受刑者の中で執行猶予以上の前科者の比率を見ると,刑法犯における女性の比率は62.0%,男性のそれは77.3%で,特別法犯については,女性の比率が75.6%,男性のそれが85.1%であって,前科者率はすべて女性の方が低いが,その差にそれ程大きな違いはなくなっている。女性犯罪者の中でも刑務所に収容された者は,その前科を見る限り男性の場合とそれ程の違いのないものとなっていることがわかる。