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 昭和54年版 犯罪白書 第1編/第2章/第1節/2 

2 新東京国際空港反対闘争事件

 成田空港の開港に反対する過激派集団の10余年にわたる長期暴力闘争は,昭和58年3月30日の開港予定日を焦点として正念場を迎えた。過激派集団は,同年2月から9月にかけて連続的に大量動員を行って集会を開き(集会の平均動員数約6,000人),火炎びん等を使用して警備部隊を攻撃し,空港管制塔を破壊し,また,各地でケーブルを切断するなどゲリラ的不法事犯を多発させた。特に,3月26日の空港管制塔乱入破壊事件の結果,開港予定出よ5月20日に延期された。主要な事件を列挙すると,次のとおりである。
 [1] 2月6・7日の第一次「横堀要塞」事件-同要塞の鉄塔撤去に反対する約250人が火炎びん約560本を警察官に投てきするなどして激しく抵抗し,警察官23人が負傷した。逮捕者49人
 [2] 3月26日の空港管制塔乱入破壊事件-約400人がゲートなどから空港構内に突入,警察官に火炎びんを投てきし,他方,マンホールを利用して侵入した別働隊20人が管理棟ビルを攻撃し,うち6人が管制塔に乱入して機器類を全面的に破壊した。逮捕者115人
 [3] 3月27 ・28日の第二次「横堀要塞」事件-同要塞上に再建された鉄塔の撤去及び強制捜査に反対し,同要塞にたてこもる約100人が,火炎びん・石などを投てきして激しく抵抗した。逮捕者51人
 [4] 5月20日の所沢の航空管制ケーブル切断事件-運輸省東京航空交通管制部の専用地下ケーブルが,埼玉県所沢・狭山両市内の計3箇所でほぼ同時に切断され,航空管制業務が全国的に一時まひした。過激派集団の一派が犯行を自認する声明を発表した。
 [5] 9月7日の米本無線中継所などケーブル切断事件-千葉県八千代市の同中継所内のケーブル2本が切断されたほか,同県内3箇所で電話ケーブルがほぼ同時に切断され,約2万回線が不通となり,航空情報通信網が一時途絶した。過激派集団の一派が犯行を自認する声明を発表した。
 以上のほか,過激派集団各派は,成田現地や首都圏をはじめ,大阪,京都,広島,高松などの各地で,時限式発火物を多用してゲリラ事件を続発させた。