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 昭和53年版 犯罪白書 第3編/第4章/第3節/1 

第3節 窃盗・詐欺の累犯

1 概  説

 本節では,財産犯のうち,累犯性の高い窃盗・詐欺を取り上げることとする。例年の刑務所の再入受刑者について見ても,再入者数において最も多く,かつ,前刑罪名との一致率から見ても最も多いのは窃盗であり,また,前刑罪名との一致率で窃盗に次いで高いのは,詐欺である。窃盗及び詐欺は繰り返される犯罪の典型とも言えるのである。
 法務総合研究所では,昭和53年から累犯受刑者に関する調査を進めているが,この調査は,51年の新受刑者の中から,全国のB級系統受刑者収容施設に収容された受刑者を,無作為に抽出した1,001人を対象として行った。
 そのうち,前別に係る犯罪が窃盗で刑務所に服役し,出所後の今次の刑に係る犯罪もまた窃盗である者(以下,「窃盗累犯」という。)が347人であり,同様に詐欺である者(以下,「詐欺累犯」という。)は,42人である。残りの612人を対照群としているが,この中には,刑務所の入所歴のない者155人が含まれ,再入者は457人である。対照群を再入者に限定する必要のある場合には,その457人を対照群としている。以下,この調査結果によって,窃盗累犯及び詐欺累犯の特性の幾つかを取り上げて考察する。