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 昭和52年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節/9 

9 保  安

 行刑施設の安全と秩序を維持する保安の作用は,受刑者処遇が円滑に行われるための基礎である。II-51表は,行刑施設において発生した逃走等の刑務事故の状況を示すものであるが,事故件数は,年々,減少の傾向を見せている。

II-51表 行刑施設事故発生状況(昭和40年,45年,49年〜51年)

 近年,行刑施設の収容人員中に占める殺人,放火等の重大な犯罪を犯した者の比率は,高くなってきており,また,精神障害者も少なくない。更に,暴力団関係者が増大して,昭和51年末現在で全受刑者の約22%に達している。施設の安全と秩序の維持には,注意と努力を必要としている。この点に関連して,51年では,延べ2万6,423人の受刑者が規律に違反して懲罰を受けている。このうち同衆暴行(15.4%),抗命(12.1%),物品不正所持・授受等(11.3%)が高い割合を占めているが,争論(9.1%),自傷(5.0%)も年々増加しているのが目につく。なお,在所中の犯罪行為によって起訴された例では,傷害が最も多くなっている。