2 収容者の処遇 このように最近の婦人補導院の収容者は,高齢で,心身に障害があり,かっ,累犯性の高い者が大部分を占めるに至っており,これに対する処遇は困難の度を増している。そこで,婦人補導院では,新たに売春に対する態度への働きかけを中心とする処遇体系を樹立し,より積極的な処遇を実施しつつある。 その処遇の内容は,従来の職業指導,生活指導,医療,環境調整等のほかに,売春そのものを問題として積極的に取り上げ,フィルム学習や集団討議,個別面接等を行うものである。 婦人補導院における調査結果によると,在院者の大多数は,売春が一般化している社会風潮から言って,売春防止法5条違反者のみが検挙や補導の対象とされるのは不合理であるとしながらも,売春に対しては,良くない,したくない等の否定的態度をも有していることが明らかにされている。新しい処遇の試みは,この売春に対する否定的態度を強化し,その内面化を図ろうとするもので,成果が期待されている。 新しい処遇体系に応じて,生活指導は,秩序維持,生活管理,集団作り等に重点が置かれている。職業指導も,技能や知識の付与のほか,職業への健全な態度,意欲等を重視して実施されている。医療は,更生の妨げとなる心身の障害に対して行われており,特に,性病の治療に重点が置かれている。
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