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 昭和51年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/1 

第2節 刑務所における収容状況

1 概説

 刑務所は,自由刑としての懲役,禁錮及び拘留の執行並びにその間の受刑者の処遇を主要な任務とする行刑施設である。ほかに,主として未決拘禁者を収容する拘置所がある。施設数は,昭和51年6月1日現在で,本所74(刑務所58,少年刑務所9,拘置所7),支所114(刑務支所9,拘置支所105)となっている。
 以下,収容状況の推移を見るとともに,昭和50年におけるその特色について述べる。
 II-30表は,戦後における刑務所及び拘置所の1日平均収容人員を5年間隔で見たものである。その推移は,昭和25年をピークとする山型となっている。

II-30表 刑務所・拘置所1日平均収容人員(昭和20年,25年,30年,35年,40年,45年,50年)

 戦時中の昭和18年までにおける刑務所及び拘置所の1日平均収容人員は,おおむね4万5,000人を上下していたが,戦争末期の19年ころから次第に増加し,戦後は,20年及び21年の2回の恩赦による一時的減少を経て,22年には,7万6,000人余となり,23年には9万人を超え,ついに25年には10万3,170人と,かつてない大量の収容人員を記録した。しかし,同年以後は,多少の起伏を見せながらも,漸次減少傾向に向かった。
 一方,施設の収容力については,終戦時の昭和20年において,本所53(刑務所40,少年刑務所8,拘置所5),支所94であった。戦災(本所25,支所11が罹災)及び連合軍による接収等のため,戦前の収容力の約40%を失い,収容人員の増加は,著しい過剰拘禁状態を招いた。この対策として,構外作業場の増設等が図られ,その後,施設の復旧,増設も進められるに及んで,過剰拘禁は漸次緩和されるに至った。
 昭和50年の1日平均収容人員は,4万5,690人(うち,女子は1,048人で全体の2.3%に当たる。)で,前年に比べて42人減少し,戦後の最低となっている。このうち,受刑者は3万7,850人で,全収容者の約83%を占めるが,前年に比べると,748人の減少となっている。なお,未決拘禁者については,被告人は7,203人で,前年に比べて639人の増,また,被疑者は402人で,前年に比べて46人の増となっている。
 次に,受刑者について,その入所出所の状況を見ると,II-31表のとおりである。昭和50年の入所人員は2万7,470人であるが,そのうち,2万6,158人がこの1年間に新たに刑が確定して入所した者で,仮釈放の取消しなどによる復所者は1,312人である。入所人員は,25年をピークに以後減少傾向にあったが,50年では前年を534人上回った。出所人員は,2万7,495人であり,その内訳は,満期釈放1万1,736人,仮釈放1万4,933人,その他刑執行停止などによる出所人員826人である。

II-31表 受刑者の入出所事由別人員(昭和20年,25年,30年,35年,40年,45年,50年)

 満期釈放,仮釈放の割合を,戦後の推移を通じて見ると,満期釈放は20%台から40%台において,また,仮釈放は50%台から70%台において,流動的な起伏を示しているが,近年は,満期釈放の割合が幾分増加し,その反面,仮釈放の割合が低下してきている。昭和50年では,満期釈放は44.0%,仮釈放は56.0%と,ほぼ40年当時の割合に近づいている。