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この白書は,昭和50年を中心とした最近の犯罪動向と犯罪者処遇の実情を概説したものである。
犯罪は,時代の変遷とともに,その時代の背景をなす社会的,経済的,文化的情勢と複雑に関連しながら変動する。こうした観点から,本白書では,昭和50年間の過去半世紀における我が国の犯罪の動向に焦点を当て,刑法犯を代表する生命・身体犯,財産犯,風俗犯の三つの犯罪類型を中心に,その推移と現況を時代背景と関連させつつ考察した。また,最近,凶悪化の傾向を強め,国民生活の脅威となっている暴力団犯罪について,その現況を詳細に説明するとともに,制定後20年を経過した売春防止法の運用と売春犯罪の実態を解説した。更に,現下刑事政策上の重要課題の一つと考えられる犯罪傾向の進んだ犯罪者の処遇問題を取り上げ,この種犯罪者の特徴と処遇のあり方について検討した。 本書の編成は,例年どおり,全体を3編に分け,第1編では,昭和50年を中心とした最近の犯罪動向を概観するとともに,主要な犯罪類型別に時代的考察を加え,第2編では,検察,裁判,矯正及び保護の各段階を通じての犯罪者処遇の実情を紹介し,特に,保護関係では更生保護制度発足以来25年間における更生保護活動の発展経過を解説した。第3編では,特殊な犯罪と犯罪者として,少年非行,交通犯罪,暴力団犯罪及び売春犯罪について詳述している。 終わりに,本白書を作成するに当たり,法務省各部局はもとより,最高裁判所事務総局及び警察庁から協力と援助を受けたことを感謝するとともに,本白書に関する責任は,専ら当研究所にあることを明らかにしておきたい。 昭和51年10月 鈴木 壽一 法務総合研究所長 |