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 昭和50年版 犯罪白書 第2編/第3章/第2節/2 

2 収容者の状況と処遇

 婦人補導院収容者には,心身に障害のある者が極めて多い。昭和49年における新収容者の知能指数及び精神状況を示すと,II-75表II-76表のとおりである。知能指数が普通より低い者(74.1%),精神薄弱その他精神に障害のある者(48.1%)がかなりの部分を占めていることは,例年と余り変わらない。

II-75表 婦人補導院新収容者の知能指数別人員(昭和47年〜49年)

II-76表 婦人補導院新収容者の精神状況(昭和47年〜49年)

 昭和49年の新収容者の年齢分布を見ると,高齢化傾向が顕著に見られ,40歳以上の者が総数27人のうちの16人で,6割弱を占めている。
 売春による刑事処分歴を有する者は,新収容者の9割強を示し,処分歴のない者は,わずかに2人である。
 昭和49年における新収容者に対する検診結果を見ると,総数の三分の一の9人が性病にかかっており,その他の傷病者14人との合計23人,すなわち,総数の約8割5分が疾患者である。
 婦人補導院における処遇は,在院者が自己の徳性を害する売春行為をやめ,健全な社会生活ができるようにするため,必要な生活指導,職業指導及び心身の障害に対する医療措置を行うことが重点となっている。
 生活指導は,婦人として必要な徳性を育て,在院者を健全な社会人として自立させることを目標として,各種の教育活動やクラブ活動,面接相談,集団討議等が活発に行われている。
 職業指導においては,在院者の知能,年齢等の特質から,家事サービス技能の訓練に重点が置かれているが,その他,和洋裁,手芸,園芸,謄写印刷,タイプライターなどの基礎的な補導も行っている。
 医療は更生の妨げとなる心身の障害に対して行われているが,性病の治療に対しては特に重点が置かれている。もとより,一般健康状態の回復にも意が用いられ,規則正しい生活の維持と給食管理が徹底してなされている。