前の項目   次の項目        目次   図表目次   年版選択
 昭和50年版 犯罪白書 第1編/第2章/第5節/1 

1 精神障害者に対する措置状況

 厚生省の調査によると,昭和49年末における全国の精神病院及び一般病院併設精神科の精神科病床数は27万3,710床,入院患者は27万2,360人である。そのうち,措置入院患者は6万6,967人で病床数の24%を占めている。
 精神障害者に関し,精神衛生法23条から26条までの規定に基づく申請・通報の件数及び精神衛生鑑定医の診察の結果精神障害者と認定された者の数は,I-50表のとおりで,総数,申請及び通報のいずれの件数も減少傾向にある。通報件数6,742件の内訳を見ると,警察官によるもの5,197件,検察官によるもの1,159件,保護観察所長によるもの43件,矯正施設長によるもの343件であり,精神衛生鑑定医の診察の結果精神障害者と認められた者は,それぞれ,4,125人,779人,22人,156人であった。

I-50表 精神衛生法による申請・通報件数及び精神障害者数(昭和40年〜49年)

 法務省刑事局の調査によると,昭和46年から49年の間に,全国の地方検察庁で処理された事件のうち心神喪失の理由で不起訴となった被疑者と第一審裁判所で判決のあった事件のうち心神喪失による無罪又は心神耗弱による刑の減軽の言渡しを受けた被告人との合計は1,868人であるが,そのうち1,036人(55.5%)が措置入院となっている。処分別にみると,心神喪失による不起訴1,438人中の970人(67.5%),心神喪失による無罪100人中の61人(61%),心神耗弱による刑の減軽330人中の5人(1.5%)が措置入院となっている。