仮出獄の申請及び許否決定の状況は，右のII-82表に示したとおりで，昭和47年の申請受理人員は2万179人と，前年に比べて更に517人の減少となった。しかし，棄却数は526人増加し，棄却率は，前年の9.6％から12.5％へとかなりの上昇を示した。他方，許可数は前年より907人減り，1万6,750人であった。
　次のII-83表は，昭和47年の仮出獄許否決定の状況を，刑法上の累犯・非累犯別，刑務所入所度数別及び許否決定時の年齢別にみたものである。これによると，累犯者は，棄却率が目立って高い。また，入所度数の多い者ほど棄却率が高くなる傾向がみられ，それらの者に対する仮釈放許可が特に慎重に行われていることがうかがわれる。年齢については，60歳以上の高齢者を除き，年齢が高くなるほど棄却の率も高くなっている。

II-83表　受刑者の累犯・非累犯の別，入所度数別及び年齢別の仮出獄許否の状況(昭和47年)

　ところで，受刑者は，刑期のうちどの程度を服役してから仮釈放になっているであろうか。昭和47年に仮釈放になった定期刑の受刑者を，刑の長さに従って区分し，それぞれの執行率(執行すべき刑期に対する執行ずみの刑期の割合)を示したのがII-84表である。まず，定期刑の全体についていえば，その半数以上(53％)の者が刑期の90％以上を服役してから仮釈放になっている。そして，執行率80％以上の者を合わせると，定期刑仮出獄者の大部分(84％)ということになる。法律上は，定期刑については刑期の3分の1を経過すれば仮出獄を許すことができることになっているが，実際上，刑期の2分の1未満で仮釈放になった者は例外的で，わずか3人であった。

II-84表　定期刑仮出獄者の刑の執行状況(昭和47年)

　次に，刑期別にその執行率をみると，執行率90％以上の者は，刑期1年以下で61％，2年以下で51％，3年以下で46％，5年以下で44％と，刑期が長くなるに従って執行率は低くなっている。これを逆からみると，執行率79％以下の者の割合は，おおむね，刑期が長くなるほど高くなっている。また，累犯・非累犯の別に調べたところでは，累犯は，前述のように棄却率が高いだけでなく，許可の場合でも執行率90％以上という短期間の仮出獄を許される者の率が83％と，非累犯の場合の41％に比べて著しく高い。
　他方，無期刑受刑者については，法律により，服役してから10年(少年法による場合は7年)の期間が経過すれば仮出獄を許すことができることになっているが，過去3年間に無期刑で仮出獄した者の在監期間をみると，II-85表のとおりであり，13年を超え16年以内の者が多い。昭和47年においてそれらの者が占める割合は59％であった。

II-85表　無期刑仮出獄者の在監期間(昭和45年〜47年)

　ここで，仮出獄期間(執行すべき刑期から執行ずみの期間を除いた期間で，この間保護観察に付される。)について触れると，後掲のII-93表に示すとおりで，昭和47年の仮出獄者では，2月以内の者だけで過半数(61％)に達しており，2月を超え1年以内の者は34％で，1年を超える者はわずか5％にすぎない。
　仮出獄期間中の犯罪又は遵守事項違反に対しては，仮出獄を取り消すことができることになっている。最近5年間の仮出獄取消の状況は，II-86表に示すとおりで，取消率(ここにいう取消率は，ある年次に仮出獄の取消を受けた人員を，同じ年次の仮出獄許可人員で除した値であるから，正確な意味での取消率とはいえないが，大体の傾向を知ることができる。)は，3.9％ないし4.8％で，昭和47年には4.7％であった。

II-86表　仮出獄取消決定を受けた人員(昭和43年〜47年)

　次に，仮出獄者と満期釈放者の刑務所再入所状況を比較したものを示すと，II-87表[1]のようになる。同表は，昭和43から47年までに出所した仮出獄者と満期釈放者の人員(同表にみられるように，例年，出所者の過半数は仮出獄により出所している。)と，それらのうち仮出獄取消又は再犯によって再収容された人員を，再収容の年別に示したものである。昭和47年については，出所の当年の再収容までしか追跡できないが，43年の出所者については，5年目まで追跡がなされている。釈放後の年数別に平均して再収容率をみると，同表[2]のとおりである。これによると，満期釈放者は，出所の当年に，出所人員の10.7％が再収容されているが，仮出獄者にあっては3.9％にとどまっており，また，第5年まで各年の比率をそのまま累計すると，仮出獄者では約3割が再収容され，満期釈放者では約5割が再収容されていることになる。

II-87表　仮出獄者と満期釈放者の成行き(昭和43年〜47年)