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 昭和48年版 犯罪白書 第2編/第2章/第2節 

第2節 婦人補導院における処遇

 昭和47年における婦人補導院の新収容者は42人で,前年に比べ4人減少している。婦人補導院の新収容者は年々減少傾向を続けており,最近3年間の入出院状況はII-79表に示すとおりである。なお,47年の入院状況をみると,9月以降に新収容者の増加の兆がみられる。47年における出院者は,退院者32人,仮退院者1人の合計33人となっている。

II-79表 婦人補導院の入出院状況(昭和45年〜47年)

 婦人補導院収容者には,心身に障害のある者が極めて多い。47年における新収容者の知能指数並びに精神状況を示したものがII-80表及びII-81表である。知能指数の低い者が新収容者の大部分を占める傾向は,例年と変わらない。また,何らかの特殊処遇を必要とする精神障害者の割合は,過半数を占めており,この傾向も例年と変わらない。

II-80表 婦人補導院新収容者の知能指数別人員(昭和45年〜47年)

II-81表 婦人補導院新収容者の精神状況(昭和45年〜47年)

 また,47年における新収容者に対する検診結果をみると,総数42人のうち,その3分の1の14人は性病にかかっている者であり,その他の傷病者7人との合計21人,すなわち,総数の半分が疾患者である。
 婦人補導院における処遇は,在院者が社会生活に適応するために必要な生活指導と職業補導並びに心身の障害に対する医療措置を行うことが重点となっている。生活指導は,性道徳の自覚を促し,婦人として必要な徳性を育て,在院者を社会人として自立させることを目標として,各種の教育活動やクラブ活動,面接相談などが活発に実施されている。
 職業補導においては,在院者の知能や職業適性の特質から,家事サービスに重点を置いているが,その他,園芸,洋裁,手芸なども行われている。しかし,前述のように,心身に障害のある在院者が多いこと,帰住先の環境に恵まれない者が多いこと,補導期間も6月に限られていることなど,補導処分には効果を挙げにくい種々の事情が重なっている。今後の婦人補導院の運営に関しては,処遇面の改善工夫とともに,関係機関の協力を得て,退院後における社会復帰のための諸施策を一段と進めることが必要であろう。