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 昭和35年版 犯罪白書 第三編/第二章/二/1 

二 婦人補導院内の処遇

1 婦人補導院の目的

 婦人補導院は,売春防止法にもとづいて設立された国立の施設である。公然勧誘の罪を犯した成人の女子で刑の執行を猶予された者に対しては,裁判所がその性格,行動または環境に照らし売春を行なうおそれがあると認めたときは,売春防止法第一七条により,補導処分に付する旨の言渡をするごとができるが,この補導処分を言い渡された者を収容するのが,婦人補導院である。婦人補導院には,六ヵ月間収容するあいだに更生のために必要な補導がなされる。現在は,東京,大阪および福岡に三婦人補導院が設けられている。
 婦人補導院における処遇は,婦人補導院法および婦人補導院処遇規則などでさだめられているが,その趣旨は,規律ある明るい環境のもとに,社会生活に適応させるために必要な生活指導と職業補導とを行なうとともに,更生の妨げとなる心身の障害を除去するための医療をほどこすにあるとされている。