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 昭和35年版 犯罪白書 第二編/第二章/五/2 

2 個別恩赦

 個別恩赦は,刑事政策的見地から,随時行なわれることとなっている。これを常時恩赦とよび,国家的慶事(たとえば,講和,立太子礼)などのさいに,一定の期限をかぎって,通常の場合とちがった特別の基準で行なわれる個別恩赦と区別する。後者は特別恩赦とよばれる。最近には特別恩赦がしばしばあったため,常時恩赦をする余地が少なくなる傾向がある。常時恩赦は,年間一〇〇件前後である。
 最近一〇年間の個別恩赦の受理および処理の人員数は,II-63表のとおりで,個別恩赦の決定のあった人員をその種類別にみると,II-1図のように,特赦が四五パーセントをしめ,減刑と復権とがこれにつぎ,刑の執行の免除がもっとも少ない。もともと,特赦は,主として特別恩赦のさいに行なわれ,常時恩赦では,特殊の例外としてされるにすぎない。なお,個別恩赦につぎ,最近一〇年間の恩赦決定人員数を上申庁別に法務省保護局の調査した統計によってみると,検察庁五,三一四,刑務所一,五七八,保護観察所一,〇〇二で,検察庁の上申がもっとも多い。

II-63表 個別恩赦の種類別受理・処理人員(昭和24〜33年)

II-1図 個別恩赦決定の恩赦種別人員と百分率(昭和24〜33年の合計)

 特別恩赦は,最近一〇年のあいだに四回にわたり行なわれた。(1)昭和二七年四月の平和条約発効にさいして行なわれた講和恩赦,(2)昭和二七年一一月の立太子礼にさいして行なわれた立太子礼恩赦,(3)昭和三一年一二月の国際連合加盟にさいして行なわれた国連加盟恩赦,(4)昭和三四年四月の皇太子の御結婚にさいして行なわれた皇太子御結婚恩赦の四つである。このうち,立太子礼恩赦のほかは,いずれも,政令による一般恩赦とあわせて行なわれた。