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 昭和35年版 犯罪白書 第二編/第一章/三/3 

3 保釈

 勾留されている被告人は,保釈によって,一定の条件のもとに釈放される。保釈には,保釈の請求があったときに,保釈を許さなければならないもの(権利保釈という)と,そうでないもの(裁量保釈という)とがある。
 司法統計年報によれば,昭和三三年中に第一審の判決があった一〇七,四二一人のうち,起訴のさいに勾留中であったものは,その七九・一パーセント(八五,〇二一人)であるが,うち,第一審判決までに保釈によって釈放された者は,さらに,その二二・六パーセント(一九,二八一人)である。このうち,権利保釈で釈放されたものは,保釈者総員の八〇・二パーセント(一五,四七二人)である。なお,判決時までひきつづき勾留されていた者は,起訴のさいに勾留中であった者の五三・〇パーセント(四五,〇七一人)である。
 保釈されるためには保釈保証金を納付しなければならないが,この金額は,犯罪の性質および情状,証拠の証明力ならびに被告人の性格および資産などを考慮して裁判所がきめるが,要は,被告人の逃走をふせぎ,その出頭を確保するにたりる相当な金額ということになろう。実際にはどの程度の金額が決定されているかというと,II-11表にみるように,一万円以上五万円未満のものがもっとも多く,全体の七〇ないし八〇パーセントをしめている。また,保釈保証金は,緩慢ながらしだいに高額になってゆく傾向がうかがえる。保釈中に逃亡するのがあるが,これは,保釈保証金の性格からみて,その目的をはたし得ない額であったとみるべきであろう。

II-11表 保釈金額別百分率