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 昭和42年版 犯罪白書 第三編/第二章/一/1 

第二章 犯罪少年の処遇

一 警察・検察・裁判

1 少年警察

 警察官は,非行少年を早期に発見し,捜査または調査の結果,これを選別して関係機関に送致または通告し,あるいは,警察限りの措置として,家庭,学校,職場などへの必要な連絡,注意,助言などを行なって,非行の防止を図るばかりでなく,青少年の健全育成に資するような活動を行なっている。
 ところで,昭和四〇年において,少年警察の対象となった非行少年の総数は,約二三五万五千人であるが,このうち,犯罪少年は約一〇一万人,触法少年は約四万五千人,ぐ犯少年および不良行為少年は約一三〇万人となっている。これらの少年に対する処理の状況を,昭和四〇年の統計によってみると,III-10図のとおり,刑法犯を犯した犯罪少年については,総数一九〇,八六四人のうち,一四・九%が,身体を拘束されたまま検察官または家庭裁判所に送致(付)され,残り八五・一%は,書類で送致されているが,そのうち,五・九%は,簡易送致である。触法少年四五,九八三人のうち,五二・五%が,児童相談所または福祉事務所に通告され,残りの四七・五%に対しては,警察限りの措置が執られている。ぐ犯少年および不良行為少年一,三〇九,五〇四人のうち,七,一一八人(〇・五%)が,家庭裁判所に送致され,五,九一四人(〇・五%)が,児童相談所または福祉事務所に通告されているが,一,二九六,四七二人(九九・〇%)は,警察限りの措置に終わっている。

III-10図 非行少年の警察における処理別人員と率(昭和40年)

 このように,多数の非行少年が警察限りの措置にゆだねられている現状は,少年の非行防止のためにとくに初期の矯正が必要とされることとあわせ考え,少年警察が少年非行対策上重要な役割をになっていることを示しているものであって,その成果には,重大な関心を寄せなければならない。
 ちなみに,警視庁では,全国にさきがけ,昭和四二年二月一日に,「少年非行防止対策本部」を設置し,少年非行防止のため,全庁の力を結集し,防止対策を総合的かつ効果的に推進することとしたが,その基本的な方策としては,(1)補導活動の強化,(2)有害図書等の排除,(3)有害業態の視察取締り,(4)福祉犯罪の検挙,(5)少年の関与する事件処理の適正などがあげられる。