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 昭和42年版 犯罪白書 第二編/第三章/五/2 

2 保護司会,B・B・S会,更生保護婦人会の犯罪予防活動

 保護司会は,保護司を会員とする団体で,保護区および保護観察所単位に組織されているほか,地方・全国の組織がある。保護司は,地域社会の代表として,社会奉仕の精神をもって,犯罪者の改善,更生を助けるとともに,犯罪の予防のため,世論の啓発に努め,地域社会の浄化のために活動するボランティアである。したがって,その集合体である保護司会もまた,犯罪予防活動に従事している。犯罪予防活動は,組織として動くことによって,いっそうの効果が期待できるが,なかでも,保護区単位の保護司会は,その地域の事情に明るく,社会的信望のある地域社会の代表者によって構成されているだけに,犯罪予防活動の実施体としては好適の組織であり,その果たしている役割は,非常に大きいものがある。この実績に対し,国においても,昭和三八年以降,地方交付税交付金の中に,地方公共団体が行なう犯罪予防活動経費として,人口一人につき九四銭四厘の交付内訳を認めており,全国の各保護区単位の保護司会にあっては,地方公共団体と提携して,この種の活動を展開している。
 B・B・S会(会員は全国で約一万人)は,少年を愛し,少年のよき友達,兄,姉となって,少年に好ましい影響を与えながら,少年の反社会性,要保護性を除去していこうとする活動をしているB・B・Sが集って組織する,保護観察所の一つの協力団体であって,地区および保護観察所単位に組織され,さらに,それらを統合した地方,全国の組織もある。会としての活動には,会員相互の研さん活動と地域社会の浄化活動とがある。この地域社会の浄化活動は,保護司会その他関係機関と協力して活発に行なわれている。「社会を明るくする運動」にはもちろん,その他青少年の犯罪予防など,地域社会活動として行なわれる運動にも,積極的に参加している。
 更生保護婦人会(会員は全国で約六〇万人)は,更生保護事業に協力し,地域から犯罪者や非行少年を出さないようにするための予防活動を行ない,犯罪や非行のない明るい社会を作ろうとする篤志婦人の集まりである。この会は,市町村または保護区単位に組織され,さらに,保護観察所単位の組織や全国の組織もある。その活動は,保護司会と密接な連係をとり,保護司活動に対する協力,更生保護思想の啓発宣伝等を行なうほか,犯罪予防活動を行なうことである。この団体もまた,「社会を明るくする運動」をはじめ,地域社会の浄化活動に参加するなど,その活動は,年々活発化しつつあるが,その会員には,その地域の有識者である婦人が多数参加しているので,地域における犯罪予防活動の実践組織として,ますます期待がかけられている。