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 昭和41年版 犯罪白書 第一編/第一章/三/3 

3 女子犯罪者の特性

 ここでは,資料の関係上,男女の受刑者を年令,知能程度,配偶関係などの視点から比較することによって,女子犯罪者の特性をみることにする。
 まず,男女の新受刑者を年令別にみるとI-35表のとおりである。

I-35表 新受刑者の年令分布(昭和39年)

 右の表でみると,女子の新受刑者では,四〇歳ないし四九歳の年令層が最も多く,三〇歳ないし四九歳の年令層のところに女子新受刑者総数の五八%のものが含まれている。これに対して,男子の新受刑者では二〇歳ないし二四歳の年令層が最も多く,二〇歳ないし二九歳の年令層に男子受刑者総数の五二%のものが含まれている。
 要するに,男子の新受刑者は青年層の者が多いのに対して,女子の新受刑者は中年以上の者が圧倒的に多い。初犯者と累犯者とを区別して,なぜに女子の場合中年以上の新受刑者が多いかを検討することは,今後の一課題である。
 つぎに,受刑者の知能指数についてみると,法務省矯正局の調査による受刑者の男女別知能指数は,I-36表のとおりであって,この調査結果によると,男女ともに知能指数の高いものはきわめて少ない。ことに,女子の受刑者は,男子受刑者に比較して,知能指数の低いものが多く,知能指数六〇ないし八九のものが半数以上あり,知能指数五九以下のものも二七%に達している。

I-36表 受刑者の知能指数(昭和40年12月現在)

 さらに,男女別新受刑者の配偶関係をしめすと,I-37表のとおりであって,男子新受刑者の五〇%は未婚者であるのに対して,女子新受刑者の五五%は有配偶者である。

I-37表 新受刑者の配偶関係(昭和39年)

 また,離別者,死別者も,男子新受刑者では一一%であるのに対して,女子新受刑者では,その割合は二三%に及んでいる。
 最後に,女子の新受刑者は,初犯者が多く,累犯者が少なく,これに反して男子新受刑者は,累犯者が多かった。しかし,最近数年間,女子の新受刑者も男子と同様に累犯者が次第に増加し,この限りでは,女子の犯罪者も男子の犯罪者と差異がなくなりつつある。
 ちなみに,昭和三〇年における女子の新受刑者では初犯者七〇%,累犯者三〇%であり,男子新受刑者では初犯者四一%,累犯者五九%であったが,昭和三九年には,女子の新受刑者中,初犯者四九%,累犯者五一%となり,男子新受刑者では,初犯者四四%,累犯者五六%となっている。