前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

令和2年版 犯罪白書 第4編/第5章/第2節

第2節 配偶者間暴力に係る犯罪

配偶者暴力防止法は,被害者からの申立てを受けて裁判所が加害者に対して発した,被害者の身辺へのつきまといをすることなどを禁止する保護命令に違反する行為(保護命令違反行為)等に対して罰則を設けている。令和元年6月の改正では,被害者保護のために相互に連携・協力すべき関係機関として児童相談所が明記された(令和元年法律第46号。2年4月施行)。

配偶者からの暴力事案等の検挙件数の推移(最近10年間)を見ると,4-5-2-1図のとおりである。配偶者暴力防止法に係る保護命令違反の検挙件数は,平成27年以降減少傾向にあり,令和元年は,71件(前年と同じ)であった。その一方で,他法令による検挙件数の総数は平成23年以降増加し続けており,令和元年は9,090件で,平成22年の約3.9倍であった。特に,暴行及び暴力行為等処罰法違反の検挙件数が大きく増加している。また,令和元年の強制性交等の検挙件数は,6件(前年と同じ)であった(警察庁生活安全局の資料による。)。

なお,令和元年における配偶者からの暴力事案等に関する相談等件数(配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた被害者の相談等を受理した件数をいう。)は,8万2,207件であり,被害者の性別の内訳を見ると,男性が1万7,815件(21.7%),女性が6万4,392件(78.3%)であった。被害者と加害者の関係別に見ると,婚姻関係が6万2,119件(75.6%)と最も多く,次いで,生活の本拠を共にする交際(婚姻関係における共同生活に類する共同生活を営んでいないものを除く。)をする関係1万3,914件(16.9%),内縁関係(婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある場合をいう。)6,174件(7.5%)の順であった(いずれも,元々その関係にあったものを含む。警察庁生活安全局の資料による。)。

4-5-2-1図 配偶者からの暴力事案等の検挙件数の推移(罪名別)
4-5-2-1図 配偶者からの暴力事案等の検挙件数の推移(罪名別)
Excel形式のファイルはこちら

配偶者暴力防止法違反に係る検察庁新規受理人員の推移(同法が施行された平成13年以降)は,4-5-2-2図のとおりである。同法違反の受理人員は,24年以降,100人を超えて推移していたが,29年から2年連続で減少した後,令和元年は前年より5人増加して75人であった。

4-5-2-2図 配偶者暴力防止法違反 検察庁新規受理人員の推移
4-5-2-2図 配偶者暴力防止法違反 検察庁新規受理人員の推移
Excel形式のファイルはこちら