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令和元年版 犯罪白書 第7編/第1章/第1節/5
5 再犯・再非行の概況

刑法犯により検挙された者のうち,再犯者の占める比率(再犯者率)は,平成初期は低下傾向にあって,平成8年には27.7%まで低下したが,その後は毎年上昇し,30年には48.8%となった。再犯者の人員は,18年をピークとして漸減状態にあるものの,それを上回るペースで初犯者の人員も減少しているためである。

平成期における刑法犯成人検挙人員中の有前科者率は,平成3年から7年までは20%台前半であるが,それ以外は,20%台後半で推移している。また,同一罪名有前科者率は,10%台前半で推移していたが,25年から29年は15%を上回った。

入所受刑者人員中の再入者率は,平成7年まで60%を上回っていたが,次第に低下し,15年には平成期において最低の48.1%となった。その後再び上昇して,近年は60%に迫る比率となっている。

出所受刑者の再入率の推移を見ると,2年以内再入率,5年以内再入率のいずれも緩やかな低下傾向にある。仮釈放者は満期釈放者等よりも再入率が一貫して低く,女性は男性より,非高齢者は高齢者よりいずれも再入率が低い。罪名別では,窃盗が一貫して高く,それ以外ではかつて詐欺が高かったが,現在は覚せい剤取締法違反,傷害・暴行がそれを上回る状況にある。

保護観察開始人員中の有前科者率は,仮釈放者では平成13年から22年まで80%を下回っていたが,その後は再び80%を上回る状況が続いている。保護観察付全部執行猶予者では9年以降,50%から60%の間で推移しているが,保護観察付一部執行猶予者では,90%を上回る。

保護観察終了者の取消・再処分率は,平成9年以降数値が存在し,仮釈放者では12年に最も高い8.2%であったがその後低下傾向になり22年には4.4%となって,近時もおおむね4~5%程度である。保護観察付全部執行猶予者では,9年が39.0%であったが19年頃から低下傾向になり,25年には29.3%まで低下して,近時もおおむね30%前後である。

少年の刑法犯検挙人員中の再非行少年率は,平成初期は低下傾向にあって平成9年の21.2%まで低下したが,その後上昇傾向となり,28年に37.1%となっている。少年院出院者の再入院・刑事施設入所率は2年以内では10%から14%台,5年以内では21%から25%台で推移している。