7-3-4-1図は,年齢層別の入所受刑者人員及び高齢者率(入所受刑者人員に占める高齢入所受刑者の人員の比率をいう。)の推移(最近20年間)を総数・女性別に見たものである。
平成10年以降の高齢入所受刑者の人員を見ると,増加傾向にあり,29年は総数が2,278人(前年比8.8%減),女性が373人(前年比2.8%増)であり,10年と比べると,総数は約3.3倍,女性は約8.5倍にいずれも増加している。特に,70歳以上の女性の入所受刑者人員の増加が顕著で,65〜69歳の女性の入所受刑者人員を22年以降は一貫して上回るようになり,29年は10年の約12.3倍に増加した。
平成10年以降の高齢者率を見ると,上昇傾向にあり,特に女性の高齢者率は,その傾向が顕著であって,29年は総数が11.8%,女性が19.7%であったが,10年と比べると,総数は8.8pt,女性は16.0ptいずれも上昇している。
7-3-4-2図は,入所受刑者の人口比の推移(最近20年間)を総数・女性別に見るとともに,これを年齢層別に見たものである。
20〜64歳の入所受刑者の人口比が平成18年まで急上昇した後,19年以降大きく低下しているのに対し,65〜69歳では,20年まで上昇した後,21年以降緩やかに低下して,29年は11.5であり,70歳以上では,24年まで緩やかに上昇した後,横ばい状態にあり,29年は4.5であった。65〜69歳の女性入所受刑者の人口比は,22年まで上昇した後,おおむね横ばいの状況にあり,29年は2.7であった。70歳以上の女性入所受刑者の人口比は,上昇傾向にあり,29年は1.6であった。
平成29年の高齢入所受刑者の人口比を10年と比べると,総数では,65〜69歳が4.3pt,70歳以上が3.1pt,女性では,65〜69歳が2.0pt,70歳以上が1.4ptいずれも上昇している。
7-3-4-3図は,平成29年における高齢入所受刑者の罪名別構成比を男女別に見るとともに,これを年齢層別に見たものである。
男女共に,高齢入所受刑者は,窃盗の構成比が著しく高いが,女性においてその傾向はより顕著である。また,男女共に,65〜69歳の入所受刑者よりも70歳以上の入所受刑者の方が,窃盗の構成比が高く,70歳以上の女性の入所受刑者においては,窃盗の割合は約9割を占めている。
男女共に,高齢入所受刑者は,覚せい剤取締法違反の構成比が窃盗に次いで高く(ただし,70歳以上の女性の入所受刑者においては,窃盗,詐欺に次ぐ。),65〜69歳の入所受刑者の方が70歳以上の入所受刑者よりも高い。また,男性の方が女性よりも覚せい剤取締法違反の構成比は高い。
なお,罪名が殺人である高齢入所受刑者の人員は,65〜69歳の入所受刑者が14人(男性13人・女性1人),70歳以上の入所受刑者が19人(男性14人・女性5人)であった(CD-ROM参照)。
7-3-4-4図は,平成29年における高齢入所受刑者のうち,懲役受刑者の刑期別構成比を男女別に見たものである。
女性の入所受刑者は,2年以下の刑の者が約7割を占めているのに対し,男性の入所受刑者では,2年を超える刑の者が約4割を占めており,男性は,女性と比べて刑期の長い者の割合が高い。
7-3-4-5図は,高齢入所受刑者の入所度数別構成比の推移(最近20年間)を男女別に見るとともに,これを年齢層別に見たものである。
男女共に,高齢者は,非高齢者と比べて再入者の割合が一貫して高い(罪名別・入所度数別の入所受刑者の人員については,CD-ROM資料5-2参照参照)。
7-3-4-6図は,平成29年における高齢入所受刑者の婚姻状況別構成比を男女別に一般高齢者と比較して見たものである(高齢入所受刑者については,犯行時の婚姻状況による。)。男女共に,高齢入所受刑者は,配偶者と離別・死別した者が過半数を占め,配偶者を有する者の割合が約2割ないし3割と低い。
平成29年における高齢入所受刑者の有職者率(各年齢層の人員総数(学生・生徒,家事従事者及び就労状況が不詳の者を除く。)に占める有職者(犯行時に職業を有していた者を指す。)の比率をいう。以下この項において同じ。)は,男性が15.3%,女性が11.5%であり,非高齢入所受刑者の有職者率(男性34.4%,女性20.0%)と比べて低い(法務省大臣官房司法法制部の資料による。)。
なお,平成29年の一般高齢者の就業率(65歳以上人口に占める就業者(従業者と休業者を合わせたもの)の比率をいう。)は,男性31.8%,女性16.3%(総務省「平成29年労働力調査年報」による。)であった。