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平成30年版 犯罪白書 第7編/第3章/第1節/4

4 罪名別

平成29年における高齢者の刑法犯検挙人員の罪名別構成比を総数・男女別に見るとともに,これを年齢層別に見ると,7-3-1-5図のとおりである。高齢者は,男女別,年齢層別のいずれの区分においても窃盗が過半数を占めた(非高齢者総数では,45.0%。CD-ROM参照)。特に女性は,万引きの割合が極めて高く,70歳以上の女性では82.5%を占めた。また,男性は,女性と比べて傷害・暴行の割合が高く,65〜69歳の者では22.8%(女性は4.6%)を,70歳以上の者では,14.9%(女性は2.6%)を占めた。

7-3-1-5図 刑法犯 高齢者の検挙人員の罪名別構成比(男女別)
7-3-1-5図 刑法犯 高齢者の検挙人員の罪名別構成比(男女別)
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高齢者の刑法犯検挙人員中の初犯者・再犯者人員及び再犯者率の推移(最近20年間)を主な罪名別に見るとともに,これを年齢層別に見ると,7-3-1-6図<1>ないし<4>のとおりである。

殺人は,65〜69歳の者の検挙人員が,最多でも平成22年の81人にとどまっており,29年は46人であったのに対し,70歳以上の者の検挙人員は増加傾向にあり,29年は96人(10年比39人増)であった。また,65〜69歳の者では,再犯者率はほぼ5割を中心に上下しているのに対し,70歳以上の者では,一貫して初犯者の占める割合が高く,同年の再犯者率は34.4%であった。

傷害及び暴行の検挙人員は,65〜69歳の者及び70歳以上の者のいずれにおいても,増加傾向にある。平成29年における傷害により検挙された65〜69歳の者は898人(10年比約4.7倍)であり,同じく70歳以上の者は,965人(10年比約10.8倍)であった。また,29年における暴行により検挙された65〜69歳の者は1,736人(10年比約27.1倍)であり,同じく70歳以上の者は2,338人(10年比約70.8倍)であった。近年,傷害では,再犯者の占める割合が,65〜69歳の者及び70歳以上の者のいずれも5割前後であるのに対し,暴行では,初犯者の占める割合が,いずれの年齢層においても高く,暴行の検挙人員の増加は,初犯者の検挙人員の増加によるところがより大きいと認められる。

窃盗においては,最近20年間で見ると,65〜69歳の者の検挙人員が,平成22年(1万928人)をピークとして緩やかな減少傾向にあり,29年は9,038人(10年比約1.9倍,前年比4.9%減)であったのに対し,70歳以上の者の検挙人員の増加が著しく,29年は2万4,272人(10年比約4.5倍,前年比0.8%減)であった。いずれの年齢層においても,再犯者率が上昇しており,65〜69歳の者では20年以降,70歳以上の者では25年以降,ほぼ毎年,再犯者が検挙人員の過半数を占めるようになった。

さらに,高齢者の万引きによる検挙人員中の初犯者・再犯者人員及び再犯者率の推移(最近20年間)を総数・女性別に見るとともに,これを年齢層別に見ると,7-3-1-6図<5>のとおりである。

万引きによる検挙人員は,65〜69歳の者では,平成10年以降21年(8,123人)まで増加した後緩やかに減少し,29年は6,306人(10年比約1.6倍)であった。70歳以上の者は,10年以降24年(2万1,385人)まで増加して,その後はわずかに減少する傾向にあり,29年は1万9,800人(10年比約4.2倍)であった。

万引きによる女性の検挙人員は,65〜69歳の者では,平成10年以降21年(3,620人)まで増加した後減少傾向となり,29年は2,676人(10年比約1.4倍)であった。70歳以上の者は,10年以降25年(1万257人)まで増加傾向にあり,その後はわずかに減少して,29年は9,398人(10年比約4.1倍)であった。このうち,初犯者は,19年に5,676人を記録して以降緩やかに減少しているが,以後も,毎年4,000人を超える70歳以上の女性初犯者が,万引きにより検挙されている。

平成10年以降の万引きによる高齢者の検挙人員に占める再犯者の割合は上昇傾向にあり,29年は,総数,女性共に,65〜69歳の者及び70歳以上の者のいずれにおいても再犯者率は5割を超えている。

7-3-1-6図  刑法犯 高齢者の検挙人員中の再犯者人員・再犯者率の推移(罪名別)
7-3-1-6図  刑法犯 高齢者の検挙人員中の再犯者人員・再犯者率の推移(罪名別)
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高齢者の検挙人員の人口比の推移(最近20年間)を主な罪名別で見るとともに,これを年齢層別で見ると,7-3-1-7図<1>ないし<4>のとおりである。

殺人の人口比は,65〜69歳の者及び70歳以上の者のいずれも,20〜64歳の者と比べて低い。

窃盗の人口比は,65〜69歳の者及び70歳以上の者のいずれも,上昇傾向にあったものの,平成24年以降は低下傾向にある。

万引きによる検挙人員の人口比の推移(最近20年間)は,7-3-1-7図<5>のとおりであり,平成10年以降の65〜69歳の者及び70歳以上の者のいずれも,上昇傾向にあったところ,17〜19年頃以降は低下傾向にあるが,65〜69歳の者は過去20年間,70歳以上の者は15年以降,一貫して,20〜64歳の者よりも高い。

これに対し,傷害及び暴行では,65〜69歳の者及び70歳以上の者のいずれの年齢層においても,人口比はこの20年間上昇傾向にあり,高齢者の人口増加を上回る勢いで傷害及び暴行の検挙人員が増加している状況にある。なお,暴行では,20〜64歳の者の人口比も,高齢者を上回る勢いで上昇しているが,傷害では,20〜64歳の者の人口比は,12年に急上昇して以降は,おおむね横ばいである。

7-3-1-7図 刑法犯 検挙人員の年齢層別人口比の推移(罪名別)
7-3-1-7図 刑法犯 検挙人員の年齢層別人口比の推移(罪名別)
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