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平成30年版 犯罪白書 第2編/第6章/第1節/1

1 国際組織犯罪対策
(1)国連における取組

国連は,平成12年(2000年),国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約国際組織犯罪防止条約)を採択した。この条約は,組織的な犯罪集団への参加,マネー・ローンダリング及び腐敗行為の犯罪化,犯罪収益の没収,組織犯罪に係る犯罪人の引渡し,捜査共助等について定めたものであり,同条約と併せて,これを補足する「人(特に女性及び児童)の取引を防止し,抑止し及び処罰するための議定書」(人身取引議定書)及び「陸路,海路及び空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書」(密入国議定書)も採択された。我が国は,平成15年(2003年)に国際組織犯罪防止条約,平成17年(2005年)に両議定書の締結について,それぞれ国会の承認を受け,同年6月に刑法等を,平成29年(2017年)6月に組織的犯罪処罰法等を改正して,国内担保法を整備し,同年7月,同条約及び両議定書を締結した。

(2)G7/G8における取組

G7(日本,米国,英国,フランス,ドイツ,イタリア及びカナダの総称。なお,平成10年(1998年)から平成26年(2014年)までは,前記7か国にロシアを加えた8か国について,「G8」と総称された。)において,昭和53年(1978年),テロ対策専門家会合(通称ローマ・グループ)が発足し,国際テロの動向等について意見交換が行われてきた。また,平成7年(1995年)のG7サミットにおいて,国際組織犯罪に取り組む上級専門家会合(通称リヨン・グループ)の設立が決定され,リヨン・グループでは,平成8年(1996年)に「国際組織犯罪と闘うための40の勧告」が採択され,その後も,銃器,薬物及び人の密輸,サイバー犯罪,マネー・ローンダリング,汚職等の腐敗行為等の国際組織犯罪に対処するための捜査手法や法制等について,議論等が行われている。平成13年(2001年)の米国における同時多発テロ事件以降は,ローマ・グループとリヨン・グループによる合同会合が現在まで年2回程度継続的に開催されるようになり,平成14年(2002年)には,前記の勧告を見直し,国際組織犯罪対策に加え,テロ対策についても定めた「国際犯罪に関するG8勧告」が採択された。