窃盗及び強制性交等・強制わいせつを除く刑法犯について,主な罪名・罪種ごとに認知件数の推移(最近20年間)を見ると,1-1-2-7図のとおりである。
認知件数,検挙件数及び検挙率の推移(最近20年間)を罪名別に見ると,1-1-2-8図のとおりである(詳細についてはCD-ROM資料1-2及び1-3参照)。
なお,盗品譲受け等,公然わいせつ,わいせつ物頒布等,略取誘拐・人身売買,通貨偽造,文書偽造等及び賭博・富くじの認知件数等についてはCD-ROM参照。
殺人の認知件数は,平成16年から減少傾向にあり,28年は戦後最少の895件であったが,29年はわずかに増加し,920件(前年比25件(2.8%)増)であった。検挙率は,安定して高い水準(29年は101.1%)にある。
強盗の認知件数は,平成15年に昭和26年以降で最多の7,664件を記録した後,平成16年から減少傾向にあり,29年は1,852件(前年比480件(20.6%)減)であった。検挙率は,17年から上昇傾向にあり,29年は82.1%(同1.6pt上昇)であった。
平成29年における強盗の認知件数の手口別構成比は,1-1-2-9図のとおりである。
傷害,暴行及び脅迫の認知件数は,いずれも平成12年に急増した。傷害の認知件数は,15年(3万6,568件)まで増加していたが,20年以降は2万件台で推移しており,29年は2万3,286件(前年比1,079件(4.4%)減)であった。暴行の認知件数は,18年以降おおむね高止まりの状況にあり,29年は3万1,013件(同800件(2.5%)減)であった。脅迫の認知件数は,24年に急増し,29年は3,851件(同151件(4.1%)増)であった。いずれの検挙率も,16年前後からおおむね上昇傾向にある。
詐欺の認知件数は,平成17年に昭和35年以降で最多の8万5,596件を記録した後,平成18年から減少に転じたが,24年からは増加傾向を示しており,29年は4万2,571件(前年比1,581件(3.9%)増)であった。検挙率は,16年に32.1%と戦後最低を記録した後,17年から上昇に転じ,23年から26年までの低下を経て,その後はおおむね横ばいで推移し,29年は40.9%(同4.4pt低下)であった。
特殊詐欺(被害者に電話をかけるなどして対面することなく欺もうし,指定した預貯金口座へ振り込ませるなどの方法により,不特定多数の者から現金等をだまし取る犯罪(恐喝も含む。)の総称。以下この項において同じ。)のうち,振り込め詐欺及びそれ以外の特殊詐欺の認知件数,検挙件数及び被害総額(被害者がキャッシュカードを犯人に直接手渡すなどする「キャッシュカード手交型」の特殊詐欺におけるATMからの引出(窃取)額を含まない。以下この項において同じ。)の推移(最近5年間)は,1-1-2-10図のとおりである。平成29年は,認知件数,検挙件数共に,特殊詐欺全体では,前年より増加(それぞれ28.7%増,3.9%増)したが,振り込め詐欺以外の特殊詐欺では,認知件数,検挙件数共に,前年より減少(それぞれ47.9%減,49.2%減)した。また,29年は,振り込め詐欺以外の特殊詐欺の被害総額が前年より大きく減少(48.9%減)したことに伴い,特殊詐欺全体としての被害総額も,約335億円に減少(前年比14.0%減)した(なお,「キャッシュカード手交型」の特殊詐欺におけるATMからの引出(窃取)額を含めると約395億円。警察庁刑事局の資料による。)。
振り込め詐欺の認知件数は,平成21年(7,340件)に前年(2万481件)より大きく減少(64.2%減)したが,24年から増加し続けており,29年は23年(6,233件)の約2.9倍であった。また,振り込め詐欺の被害総額は,23年から27年まで増加を続けた後,28年から減少しているものの,29年は22年(約82億円)の約3.9倍であった(警察庁刑事局の資料による。)。
恐喝の認知件数は,平成13年に1万9,566件を記録した後,14年から減少しており,29年は1,946件(前年比216件(10.0%)減)であった。
横領(遺失物等横領を含む。)の認知件数は,平成16年に戦後最多の10万4,412件を記録した後,17年から減少しており,29年は2万1,821件(前年比2,671件(10.9%)減)であった。
放火の認知件数は,平成16年に2,174件を記録した後,17年から減少傾向にあったが,29年は959件(前年比45件(4.9%)増)であった。
公務執行妨害の認知件数は,平成18年に戦後最多の3,576件を記録した後,おおむね減少傾向にあり,29年は2,416件(前年比56件(2.3%)減)であった。
住居侵入の認知件数は,平成15年に戦後最多の4万348件を記録した後,16年から減少傾向にあり,29年は1万4,911件(前年比1,071件(6.7%)減)であった。
器物損壊の認知件数は,平成15年の23万743件をピークに,16年から減少しており,29年は9万2,707件(前年比7,733件(7.7%)減)であった。検挙率は,16年から若干上昇傾向にあり,29年は10.5%(同1.0pt上昇)であったが,依然,刑法犯全体と比べて著しく低い。