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平成28年版 犯罪白書 第5編/第3章/1

1 受刑者の再入所状況の概観

入所受刑者のうち,再入者の人員は近年減少傾向にあるものの,初入者の人員が大きく減少していることから,再入者の占める割合は近年上昇を続けている。平成27年の入所受刑者のうち再入者は6割近くを占め,入所度数が5度以上の者も2割を超えている(5-1-3-1図<1>5-1-3-3図参照)。

出所受刑者の平成27年末時点の再入所状況を,各年に出所した受刑者のうち再入所した者の比率(再入率)で見ると,2年以内再入率が18.5%(26年出所受刑者),5年以内再入率が38.8%(23年出所受刑者),10年以内再入率が47.6%(18年出所受刑者)となっている。18年末時点の再入所状況は,2年以内再入率が21.7%(17年出所受刑者),5年以内再入率が43.6%(14年出所受刑者),10年以内再入率が53.7%(9年出所受刑者)であり,いずれも低下傾向にある(5-1-3-15図参照)。

また,平成8年に刑事施設を出所した受刑者について,20年間の再入率の動きを見ると,再入率は,出所年を含む5年以内で急激に上昇するものの,その後の再入率の上昇は緩やかになり,10年を超えるとほぼ横ばいになっている(5-1-3-7図<3>参照)。次に,18年出所受刑者のうち,出所年を含む10年以内に再入所した者について,その再入所の時期を見ると,4割以上の者が2年以内に,8割以上の者が5年以内に再入所している(5-1-3-10表参照)。さらに,27年入所受刑者のうち,再入者について,刑事施設を出所してから再犯に至るまでの期間(再犯期間)を見ると,出所から2年未満で再犯に至った者が6割近くを占めており,3月未満というごく短期間で再犯に至った者も約1割を占めている(5-1-3-18図参照)。

これらを踏まえると,長期的には再入率は低下しつつあるといえるものの,依然として出所受刑者のうち約4割の者が5年以内に再び犯罪に及んで刑事施設に入所しており,再入者のうち出所後2年未満で再犯に至った者が過半数を占めるという状況を改善する必要がある。そのためには,出所から短期間で再入所する者に焦点を当てた対策が重要であり,まずは,総合対策に掲げられた数値目標である,2年以内再入率の低減を目指した各種の取組のうち,有効なものを精査して推し進めていく必要がある。