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平成27年版 犯罪白書 第2編/第4章/第2節/5

5 福祉的支援

平成21年4月から,法務省は,厚生労働省と連携して,高齢又は障害を有し,かつ,適当な帰住先がない受刑者及び少年院在院者について,釈放後速やかに,適切な介護,医療等の福祉サービスを受けることができるようにするため特別調整(被収容者のうち,高齢であるもの又は障害を有するものであって,かつ,適当な帰住予定地のないものに対する矯正施設の長による保護及び保護観察所の長による生活環境の調整についての特別の手続をいう。)を実施している。この取組の中心となるのは,厚生労働省の地域生活定着促進事業により整備が進められた地域生活定着支援センターであり,司法と福祉との多機関連携による支援が行われている。矯正施設においては,社会福祉士・精神保健福祉士が配置され,福祉による支援が必要な者の選定,その者のニーズの把握,円滑な社会復帰に向けた帰住調整等を実施している(本編第5章第1節2項及び第5節2項参照)。

また,平成25年2月,学識経験者,医療関係者等によって立ち上げられた「女子刑務所のあり方研究委員会」の提言を踏まえた対策の一つとして,法務省は,女子刑務所における医療・福祉等の問題に対処するため,女子刑務所が所在する地域の医療・福祉等の各種団体の協力を得て,26年4月から,「女子施設地域支援モデル事業」を行っている。具体的には,モデル事業の対象となっている刑務所(栃木刑務所,和歌山刑務所,麓刑務所のほか,27年4月からは札幌刑務支所,笠松刑務所,加古川刑務所,岩国刑務所)が所在する地方公共団体,看護協会,助産師会,社会福祉関係団体等の協力の下に,保健師,看護師,助産師,社会福祉士等といった医療・福祉等の専門家の助言・指導等を得ることで,摂食障害,妊産婦等の女子受刑者特有の問題に着目した処遇の充実等を図っている。