前の項目 次の項目       目次 図表目次 年版選択

平成26年版 犯罪白書 第6編/第3章/第2節/1

第2節 矯正
1 窃盗受刑者に対する指導

刑事施設においては,刑事収容施設法等に基づき,矯正局の定める標準プログラムを基準に,具体的な指導内容及び方法を定め,施設の実情や対象者の資質及び指導効果等を考慮した指導時間数,頻度及び期間を定めて,6種類の特別改善指導を実施している(第2編第4章第2節3項(2)P68参照)。

一方,窃盗受刑者に対する再犯防止指導(以下この節において「窃盗防止指導」という。)については,全国的に統一された標準的なプログラムは存在しておらず,それぞれの刑事施設において,従前から独自に処遇類型別指導として窃盗防止指導を実施してきた経緯があり,その流れの中で現在も窃盗防止指導を実施しているところがある(この節では,現在刑事施設で実施している窃盗受刑者に対する再犯防止のための指導を「窃盗防止指導」としているが,実際には,施設によって,窃盗以外の問題性も併せて指導している例もある。)。また,最近になり,他の特別改善指導等で習得した指導技法等を基に,独自にプログラムを作成し,窃盗防止指導を行っているところもある。最近,一部の刑事施設において,一般改善指導として窃盗防止指導が行われている背景として,受刑者の犯罪に至る問題性に対して働き掛けを行うという職員の意識の向上が図られていること,刑事施設への教育専門官,調査専門官の配置等,改善指導の充実化に向けた指導体制が整備されてきたこと,少年矯正施設との処遇共助が推進され,改善指導の指導計画及び指導案,指導方法,処遇技法等に関して,少年矯正施設の職員により,刑事施設の職員に対して助言・指導や研修が行われるようになったことなどが考えられる。