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平成26年版 犯罪白書 第6編/第2章/第1節/2

2 手口別
(1)認知件数・検挙件数・検挙率

窃盗の認知件数,検挙件数及び検挙率の推移(最近20年間)を主な手口別に見ると,6-2-1-5図のとおりである(認知件数の手口別構成比については,1-1-2-2図P8参照。また,来日外国人による窃盗の検挙件数の推移及び検挙件数の手口別構成比については,4-2-2-3図<1>P162及び4-2-2-4図P162参照)。

6-2-1-5図 窃盗 認知件数・検挙件数・検挙率の推移(主な手口別)
6-2-1-5図 窃盗 認知件数・検挙件数・検挙率の推移(主な手口別)
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ア 侵入窃盗(6-2-1-5図<1>)

侵入窃盗の認知件数は,平成10年から14年にかけて大幅に増加したが,15年からは一貫して減少している。25年の認知件数は,14年(33万8,294件)の3分の1以下となった。

侵入窃盗の中では,例年,空き巣の認知件数が最も高い割合を占めている(1-1-2-2図CD-ROM参照)。空き巣の認知件数は,増加前の平成9年から14年(14万7,500件)までの間に約1.8倍に増加したが,その後は大きく減少して,23年には14年の3分の1以下となっており,空き巣の認知件数の増減が侵入窃盗の認知件数の増減に大きく影響している(1-1-2-3図<2>P9及び1-1-2-2図CD-ROM参照)。

侵入窃盗の検挙件数は,平成16年から減少し続けており,24年には6年(19万2,510件)の3分の1以下となった。検挙率は,14年(29.1%)を底に翌年から上昇傾向となり,19年以降は5割台で推移している。

イ 自動車盗(6-2-1-5図<2>)

自動車盗の認知件数は,平成9年から増加傾向となり,15年(6万4,223件)をピークとして,その後は大きく減少し,20年以降は2万件台で推移している。

検挙件数は,平成20年から減少傾向にあり,25年は6年(1万9,717件)の約4割であった。検挙率は,15年(18.6%)を底に翌年から上昇し,21年以降は3割台で推移している。

ウ 車上ねらい(6-2-1-5図<3>)

車上ねらいの認知件数は,平成9年から14年まで増加し続けていたが,15年からは一貫して減少しており,25年は14年(44万3,298件)の約5分の1となった。

検挙件数は,平成17年から減少傾向にあり,25年は6年(7万7,921件)の約4分の1であった。検挙率は,13年(10.0%)を底に翌年から緩やかに上昇し,17年以降は2割台で推移している。

エ 自動販売機ねらい(6-2-1-5図<4>)

自動販売機ねらいの認知件数は,平成3年から11年にかけて大幅に増加し,同年までの10年間で約7倍の22万2,328件まで増加したが,15年からは一貫して減少し,24年には昭和55年以来32年ぶりに2万件を下回った(1-1-2-2図CD-ROM参照)。

検挙件数は,平成11年(4万5,754件)をピークに減少傾向にあり,25年は11年の7分の1以下となった。検挙率は,13年(11.1%)を底に翌年から上昇傾向となり,21年に急激に6割台にまで上昇したものの,翌年から低下し,23年以降は3割台で推移している。

オ ひったくり(6-2-1-5図<5>)

ひったくりの認知件数は,平成3年から14年にかけて大幅に増加したが,15年からは一貫して減少しており,25年は平成に入って初めて1万件を下回った(1-1-2-2図CD-ROM参照)。

検挙件数は,平成11年に2万件を上回った後,翌年から大きく減少し,14年に再び増加したが,15年からは減少傾向にあり,25年は11年(2万597件)の約5分の1となった。検挙率は,13年(25.4%)を底に翌年以降3割台から5割台で推移し,25年は52.9%であった。

カ 万引き(6-2-1-5図<6>)

万引きの認知件数は,平成元年から8年まで10万件を下回っていたが,9年からは再び10万件を超え,16年(15万8,020件)をピークに14年から23年までは毎年14万件を超える状況が続いた。24年におよそ10年ぶりに14万件を下回り,25年は12万6,386件(前年比6.5%減)となったが,元年以降底であった4年(6万6,852件)と比べると,なお約2倍である(1-1-2-2図CD-ROM参照)。

検挙件数は,平成17年まで増加傾向にあったが,その後は横ばいで推移し,24年からは10万件を下回っている。検挙率は,11年までは8割台で推移し,12年以降は7割台で推移している。

キ その他の手口

自転車盗の認知件数は,例年,窃盗の認知件数の中でも高い割合を占めているが,平成13年(52万1,801件)をピークに減少傾向にあり,25年は30万3,273件であった(1-1-2-3図<2>P9及び1-1-2-2図CD-ROM参照)。オートバイ盗の認知件数は,昭和63年から平成13年まで毎年20万件を超えていたが,同年から減少傾向となり,24年には13年(24万2,517件)の約4分の1にまで減少した(1-1-2-2図CD-ROM参照)。

すりの認知件数は,平成元年から15年までは毎年2万件を超えていたが,16年からは減少傾向にあり,25年(5,508件)は15年(2万5,338件)の約5分の1にまで減少した(1-1-2-2図CD-ROM参照)。

(2)検挙人員
ア 概要

侵入窃盗及び万引きについて,検挙人員(総数・女子)及び女子比の推移(最近20年間)を見ると,6-2-1-6図のとおりである。

侵入窃盗の検挙人員は,総数及び女子共に,減少傾向にあり,検挙人員の女子比は9%前後で推移している。

女子の万引きの検挙人員は,平成17年(5万249人)をピークに翌年から減少傾向にあり,25年は3万5,351人であった。検挙人員の女子比は4割台から5割台で推移しており,侵入窃盗と比べて顕著に高い。また,一般刑法犯の検挙人員に占める万引きの割合も,女子(64.4%)は,男子(24.1%)の2倍以上である(1-1-1-8表P7参照)。

6-2-1-6図 窃盗 検挙人員(総数・女子)・女子比の推移(主な手口別)
6-2-1-6図 窃盗 検挙人員(総数・女子)・女子比の推移(主な手口別)
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イ 年齢層別の推移

6-2-1-7図は,侵入窃盗及び万引きの検挙人員について,犯行時の年齢層別構成比(総数・女子)の推移(最近20年間)を見たものである。

侵入窃盗の検挙人員の総数では,少年の占める割合が低下傾向にあり,平成25年は6年と比べ半減したものの,若年者の占める割合が高く,25年は少年及び若年者が検挙人員の4割以上を占めている。

万引きの検挙人員は,総数及び女子共に,高年齢化が進んでいる。総数では,平成14年までは検挙人員の4割台から5割台を少年が占めていたが,17年からは検挙人員の4割台から5割台を50歳以上の者が占めており,高齢者の占める割合は,25年は6年の約3.7倍であった。とりわけ女子の検挙人員に占める高齢者の割合は,6年には8.9%(2,966人)であったが,25年は37.8%(1万3,379人)を占め,6年に比べ約4倍に上昇した。

侵入窃盗及び万引き以外の手口では,オートバイ盗の検挙人員は,例年9割以上を少年が占めている。自転車盗,ひったくり及び自動販売機ねらいの各検挙人員は,いずれも少年及び若年者が約7割から8割台を占めており,少年の占める割合は,平成25年は,自転車盗51.6%,ひったくり41.8%,自動販売機ねらい79.3%であった。自動車盗の検挙人員は,6年は少年が約5割を占めていたが,その後は低下傾向にあり,25年は29.6%であった。車上ねらいの検挙人員は,やや高年齢化の傾向にあるが,同年は少年及び若年者が38.3%を占めている。すりの検挙人員は,若年者の占める割合が上昇傾向にあり,同年は25.1%であった(警察庁の統計による。)。

6-2-1-7図 窃盗 検挙人員の年齢層別構成比の推移(主な手口別,総数・女子)
6-2-1-7図 窃盗 検挙人員の年齢層別構成比の推移(主な手口別,総数・女子)
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6-2-1-8図は,平成25年における窃盗の検挙人員について,年齢層別に手口別の構成比を見たものである。成人では,年齢層が上がるにつれて,万引きの占める割合が高くなっている。

6-2-1-8図 窃盗 検挙人員の主な手口別構成比(年齢層別)
6-2-1-8図 窃盗 検挙人員の主な手口別構成比(年齢層別)
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ウ 職業別の推移

侵入窃盗及び万引きの検挙人員について,犯行時の職業別構成比の推移(最近20年間)を見ると,6-2-1-9図のとおりである。

侵入窃盗の検挙人員では,無職者(年金等生活者,失業者,ホームレス及びその他の無職者をいう。以下この章において同じ。)の占める割合が顕著に高く,平成10年以降は5割前後で推移している。

万引きの検挙人員では,学生・生徒等の占める割合が平成11年までは4割以上で推移していたが,10年から低下傾向にあり,25年は17.7%と6年と比べ半減した。これに対し,年金等生活者の占める割合は,統計数値のある8年以来上昇傾向にあり,25年は19.5%と8年(4.0%)の約5倍であった。主婦の占める割合は,21年からは8%前後で推移している。

侵入窃盗及び万引き以外の手口では,自動車盗,車上ねらい,ひったくり及びすりの各検挙人員は,いずれも無職者の占める割合が高く,平成25年は,自動車盗48.8%,車上ねらい52.9%,ひったくり44.5%,すり53.2%であった。自転車盗,オートバイ盗及び自動販売機ねらいの各検挙人員は,いずれも学生・生徒等の占める割合が高く,同年は,自転車盗51.1%,オートバイ盗73.7%,自動販売機ねらい63.6%であった(警察庁の統計による。)。

6-2-1-9図 窃盗 検挙人員の職業別構成比の推移(主な手口別)
6-2-1-9図 窃盗 検挙人員の職業別構成比の推移(主な手口別)
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