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平成26年版 犯罪白書 第2編/第5章/第2節

第2節 保護観察

保護観察は,保護観察対象者の再犯・再非行を防ぎ,その改善更生を図ることを目的として,その者に通常の社会生活を営ませながら,保護観察官と,法務大臣から委嘱を受けた民間篤志家である保護司が協働して実施する(事案に応じて,複数の保護司が担当する場合もある。)。保護観察官及び保護司は,面接等の方法により接触を保ち行状を把握することや,遵守事項及び生活行動指針を守るよう必要な指示,措置を執るなどの指導監督を行い,また,自立した生活ができるように住居の確保や就職の援助などの補導援護を行う。

保護観察対象者は,家庭裁判所の決定により保護観察に付されている者(保護観察処分少年),少年院からの仮退院を許されて保護観察に付されている者(少年院仮退院者),仮釈放を許されて保護観察に付されている者(仮釈放者),刑の執行を猶予されて保護観察に付されている者(保護観察付執行猶予者)及び婦人補導院からの仮退院を許されて保護観察に付されている者の5種類である。

保護観察対象者は,保護観察期間中,遵守事項を遵守しなければならず,これに違反した場合には,仮釈放の取消しなどのいわゆる不良措置が執られることがある。遵守事項には,全ての保護観察対象者が守るべきものとして法律で規定されている一般遵守事項と,個々の保護観察対象者ごとに定められる特別遵守事項とがある。

一般遵守事項は,<1>健全な生活態度を保持すること,<2>保護観察官や保護司の呼出し・訪問に応じるなど,保護観察を誠実に受けること,<3>住居を定め,届け出ること(仮釈放・仮退院の場合を除く。),<4>届け出た住居(仮釈放・仮退院の場合は,その許可の際に定められた住居)に居住すること,<5>転居等により住居を離れる場合に事前に許可を得ることなどを内容としている。

特別遵守事項は,次の類型の中から,保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内で具体的に定めるものとされ,<1>犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしないこと,<2>健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行又は継続すること,<3>指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について,あらかじめ,保護観察官又は保護司に申告すること,<4>特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を受けること(2項(2)ウP80参照)などを内容としている。なお,平成25年6月,この類型に社会貢献活動2項(5)P82参照)を加えることなどを内容とする刑法等の一部を改正する法律(平成25年法律第49号)が成立した。

この節では,仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の保護観察の状況を見ることとする(ただし,2項においては,保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含む保護観察対象者に対する処遇等を見る。)。

なお,婦人補導院からの仮退院を許されて保護観察に付された者は,昭和59年から平成23年にはなく,24年は2人であったが,25年はなかった(保護統計年報による。)。