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平成26年版 犯罪白書 第2編/第4章/第3節/2

2 給養・医療・衛生等

被収容者には,食事及び飲料(湯茶等)が支給される。平成26年度の成人の受刑者一人当たりの一日の食費(予算額)は542.7円(主食費117.83円,副食費424.87円)である(法務省矯正局の資料による。)。なお,高齢者,妊産婦,体力の消耗が激しい作業に従事している者や,宗教上の理由等から通常の食事を摂取できない者等に対しては,食事の内容や支給量について配慮している。また,被収容者には,日常生活に必要な衣類,寝具,日用品等も貸与又は支給されるが,日用品等について自弁のもの(自費購入し,又は差入れを受けたもの)を使用することも認めている。なお,同年度の刑事施設の被収容者一人一日当たりの収容に直接に必要な費用(予算額)は,1,733円である。

刑事施設には,医師その他の医療専門職員が配置されて医療及び衛生関係業務に従事している。さらに,専門的に医療を行う刑事施設として,医療刑務所4庁(八王子,岡崎,大阪及び北九州)を設置しているほか,医療重点施設6庁(札幌,宮城,府中,名古屋,広島及び福岡の各刑務所)を指定し,これら10庁には,医療機器や医療専門職員を集中的に配置している。

矯正医官の人員は,矯正施設における医療の特殊性・困難性や,国家公務員であるがゆえの勤務条件等の影響を受け,現在その定員の8割以下となっている(法務省矯正局の資料による。)。そうした中,平成25年7月,矯正医療の充実強化のための方策を検討する,医師や弁護士等外部有識者からなる「矯正医療の在り方に関する有識者検討会」が立ち上げられ,その検討の結果として,26年1月,矯正医官の待遇改善や地域医療との共生・連携の在り方等を内容とする「矯正施設の医療の在り方に関する報告書」が法務大臣に提出された。