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平成25年版 犯罪白書 第7編/第4章/第4節

第4節 多文化共生に向けた政府・地方公共団体の取組

社会のグローバル化に伴い,我が国に定住する外国人は,著しく増え(7-2-1-1-7図参照),我が国社会の一員として生活している。その中には,日本人の場合と同じく,犯罪者や非行少年もおり,これら定住外国人の犯罪者・非行少年については,刑事処分・保護処分等の後も退去強制とならずに我が国に定住する者が少なからずいることから(本編第3章第1節3項(5)イ及び第2節5項(5)参照),その再犯・再非行を防止し,我が国社会への社会復帰を図っていかなければならない。ところで,犯罪者や非行少年の改善更生は,彼らが地域社会において社会を構成する一員として生きていく中で実現されるものであるが,外国人犯罪者・非行少年の場合は,自らの母国とは異なる言語・文化環境,社会制度の中で生活していることもあり,コミュニケーション上の障害,複雑な家庭環境,不安定な生活環境,アイデンティティの確立の難しさといった,日本の犯罪者・非行少年とは異なる特有の問題を抱えている。そこで,我が国に居住する外国人が我が国に定住して生活をする上でどのような課題が生じ,それに対して政府や地方公共団体,そして,地域社会がどのような取組を行っているのかを見ることは,外国人犯罪者・非行少年による犯罪・非行をより広い文脈で理解することにつながり,彼らの再犯防止や社会復帰支援の在り方を検討する上でも有益であるし,地域社会における多文化共生の各種取組は,外国人犯罪者・非行少年の社会復帰の受皿やこれを補完する有用な社会資源となり得るものといえる。