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 昭和40年版 犯罪白書 第二編/第三章/三/2 

2 個別恩赦

 個別恩赦は,中央更生保護審査会に上申された特定の事案について,個々に行なわれるのであるが,これには常時個々に行なわれているもの(常時恩赦という)と,次に,たとえば国連加盟,皇太子御結婚などの国家的慶事のある場合に,一定の期限を限り特別の基準をもうけて,比較的大量に行なわれるもの(特別恩赦という)とがある。後者の特別恩赦は,一般(政令)恩赦を実施する際にあわせて行なわれることもあり,これと関係なく独自に行なわれることもある。最近行なわれた特別恩赦としては,昭和三四年四月の皇太子御結婚に際して行なわれた特別恩赦(復権)があるが,その後は行なわれていない。すなわち昭和三五年以降は,もっぱら常時恩赦によって運用がなされているのである。なお常時恩赦の上申件数は,大体において年間一〇〇件を前後している状況である。
 最近一〇年間における個別恩赦(特別恩赦を含む)の受理および処理の人員数は,II-111表のとおりである。また昭和三五年以降五年間における個別恩赦上申件数(特別恩赦を除く)を上申庁別にわけて見ると,II-4図に示すとおり,検察庁一七七件(三二・五%),刑務所一三八件(二五・三%),保護観察所二三〇件(四二・二%)であり,保護観察所長の上申によるものが約半数を占めている。また,このうち恩赦決定になったのは二五八件(うち特赦三五件,減刑四四件,刑の執行の免除四九件,復権一三〇件)であって,上申総件数の約四七%に当たる。さらに最近五年間における処理人員(特別恩赦を除く)について,恩赦の種類別に恩赦決定あったものと,中央更生保護審査会において不相当とされたものとの関係について見ると,II-5図に示すとおりである。すなわちこれによると,恩赦決定人員のうち復権が約五〇%を占めて最も多く,次いで刑の執行の免除,減刑,特赦の順となっている。なお復権決定の人員一三〇人の内訳は保護観察所長の上申によるものが八七人,検察官の上申によるものが四三人となっている。

II-111表 個別恩赦の受理および処理状況(昭和30〜39年)

II-4図 上申庁別恩赦上申新受人員(昭和35〜39年)

II-5図 恩赦種類別相当不相当別人員(昭和35〜39年)

 特別恩赦は,最近一〇年間において二回にわたり行なわれた。すなわち昭和三一年一二月の国際連合加盟に際して行なわれた国連加盟恩赦,昭和三四年四月の皇太子御結婚に際して行なわれた皇太子御結婚恩赦であって,いずれも一般(政令)恩赦とあわせて行なわれた。