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 昭和40年版 犯罪白書 第二編/第三章/二/3 

3 在監,在院者の環境調査調整

 刑務所,少年院あるいは婦人補導院に収容されている者には,保護者や家族から帰住を拒否されたり,また,家庭,近隣,職場,友人関係等に更生を妨げるような事情をもつ場合がしばしばある。保護観察所が行なう環境調査調整の業務は,これらの事情を,在監,在院中に解決し,本人の円滑な社会復帰をはかるためのものである。この業務は,具体的には,保護観察所長の指名する担当者(大部分は保護司)が,本人の家庭環境,家族や近隣者の本人に対する感情,釈放後における生活設計等,本人をとりまく環境全般について,くわしく調査するとともに,必要があれば相談にあずかって調整をほどこし,その状況を環境調査調整報告書によって所属の保護観察所に提出し,保護観察所長はこれに意見を付して地方委員会に送付するという経過で進められる。この報告書は,地方委員会が行なう仮釈放審理の重要な資料となるが,なお,その写しは保護観察所長から,本人の在監,在院する施設にも送付され,矯正施設における処遇の重要な参考となる。担当者は,本人が収容されている間は,継続して調査調整を行ない,少なくとも六月に一回は,その状況を環境追報告書によって報告することになっている。
 最近五年間の環境調査調整の受理数は,矯正施設収容者の減少にともない,II-93表に示すように漸次減少している。また,その処理状況をみると,II-94表に示すように,追報告書の提出されるケースが累年増加しており,その取扱いの綿密化していることがうかがわれる。

II-93表 環境調査調整の受理状況(昭和34〜38年)

II-94表 環境調査調整報告と環境追報告状況(昭和34〜38年)